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「紗綾!俺の話を聞いてくれよ!」
食堂の中でも1番ざわめいているところに俺は足を運ぶ。そこにはかつて同じ生徒会だったみんながいた。なんか1人、めちゃくちゃモジャっとしたやつがいたけど。懐かしいなぁ、みんなますますかっこよくなっちゃって。なんて鑑賞に浸ってみたけどモジャモジャの彼が騒がしすぎて浸るに浸れない。
「ねぇ」
話しかけた俺に周りが下卑た言葉を投げつけてくる。まぁ、俺はあの頃と違って役職持ちじゃないし、仕方ないと思う。というか、中等部のときってこんなに周りの生徒って過激だったっけ?中等部の頃は誰が話しかけてもこんなにキーキーならなかったはずだけど。
「あ!誰だお前!見たことないやつだな!名前何て言うんだ?!」
これが例の転校生。生徒会や人気のある生徒を次々に落としていったイケメンキラー。会長もさあちゃんらも、何でこんなモジャにコロッといっちゃったのかな。
「君に用はないんだ。俺に用があるのはそこの馬鹿な生徒会だけ」
「れ、廉 たちのこと悪く言うなよ!俺の友達なんだぞ!」
へー、会長ってば下の名前で呼ばせてるんだ。
『俺の名前を呼んでいいのはお前だけだよ、羊』
とかドヤ顔で言ってたのって誰だったっけなー?あぁ、この目の前にいるいかにも俺様ですってかんじのバカ生徒会長様か。下の名前を呼んでいいの、俺だけだったのに。さあちゃん達でさえも名前で呼ぶことを許されていなくって、俺だけの特権だと思ってたんだけど?
「君は黙っていてくれる?」
俺がニコリと笑うと転校生は顔を赤らめて黙った。自分で言うのもなんだけど、モデルの笑顔って凄いよねぇ、こうやってうるさいの黙らせれるんだから。
「あなたは誰ですか。遥葉 に酷いことを言わないで下さい」
は?ソイツの名前もヨウなの?えぇ、なんかちょっと嫌だなぁ。
「会長も、さあちゃんも、けんくんも、るきくんもあきちゃんもどうしたの。仕事、してないみたいだね。俺の知ってるみんなはどんだけ忙しくても、どんだけしんどくても仕事をサボったりしなかったよ」
そう言ったら、あなたは何を言ってるんですって目で見られた。そりゃそうだ。はじめましての人が何言ってんだって思うだろうけど、はじめましてじゃないんだなー、これが。
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