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「あなたに私達の何が分かると言うのですか!」
いや、だから分かるんだって。幼稚所からずっと一緒だったんだし。まぁ、転校する前からしたら俺は変わりすぎてて分からないのかもしれないけれど。
「·····ヨウ?」
あぁ、だけど気づいてくれる人もいる。さすが俺のワンコだね。あとでめいいっぱい褒めてあげよう。
「なんだ!剣一 !」
「遥葉、ちがう。ヨウ!!」
途端に悲鳴があがる。それもそうだ、みんな大好き生徒会書記様がどこぞの馬の骨とも分からんやつに抱きついているんだから。
「おかえり、ヨー」
「ただいま、けんくん」
他のみんなには聞こえないようにけんくんの耳元で話す。
「剣一、離れなさい!この男は遥葉のことを馬鹿にしたのです!」
いやだどばかりに首を横に振るけんくん。俺に抱きついて離れようとはしない。みんなの前から黙って消えたから、けんくんはまた俺がどこかに行っちゃうんじゃないかとか思ってるのかな。
「俺のヨウ、こっち」
あ、やばいけんくんに耳としっぽが見えてきた。しっぽブンブンと振ってる姿が想像できてしまう。挙句の果てにはほっぺたをスリスリとしてくるけんくんにさすがの俺もちょっとは照れてきて、ちょっと離れてと言ったのだが離れてくれない。
「俺、こっちのヨウ、ついて行く」
そう言ったけんくんは俺の手を引いて食堂を出ようとしたので慌てて小町ちゃんにバイバイを言って食堂を後にした。
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