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けんくんに連れてこられたのは高等部の生徒会室。こんなところに連れてきたらアイツら来るんじゃないの?って聞いたらみんな寮でサボると言われてしまった。道理でこんなに書類が山積みになっているわけだ。
「てかけんくん、また舌っ足らずになってるよ」
けんくんは人見知りなところがあり、ある程度仲良くしないと饒舌に話せない。さすがに社会にでたらそれはやばいと思った俺はけんくんと一緒に饒舌に喋れるようにレッスンしたんだけどな。
「ヨウ、おかえり」
「ん、ただいま」
子供みたいに甘えてくるけんくんが可愛く思えて俺はその頭を昔みたいに撫でてあげる。いや、こんなに大きな子供いないしいらないんだけどね?!
「今まで、何してたの」
「親が再婚してさ、家族で暮らしてた。けど色々あって学園に戻ってきたんだ」
別に仕事のこととか隠したいわけじゃないけどそれを話し出したらキリがないし説明するのもめんどくさい。
「そう、だったんだ。あの時、ヨウが会長に別れ話したけど、次の日は普通に生徒会室に来るって思ってた。やめたって聞いてびっくりした」
「ん、ごめんね」
「悲しかった」
大きな体でボロボロと泣くけんくん。いや、ほんと子供みたい。
「どこにも行かないで、よう」
やっぱり甘えたになっているのは俺が黙って学園を出ていったのが原因っぽいな。
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