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気がつけば外が真っ暗だった。どうやら相当寝ていたらしい。そろそろ寮に帰らないといけない。寝てしまっていた分、寮で仕事をするとしよう。カバン持ってきていてよかった。こんな量、手だけじゃあ運べないもんね。しなくちゃいけない書類全てをカバンがパンパンになるまで入れて、俺は生徒会室のドアを開けた。
「っあ」
ちょうどそこに人がいて、ぶつかってしまう。ぶつかってしまった相手を確認したいが、顔を上げることができない。ここに来れるのは生徒会のメンバーとゆきちゃんにはるちゃんだが、生徒会メンバーだった場合相当気まずいのと、視界に入る制服姿からしてはるちゃんである可能性はない。
「………誰だお前」
その声を聞いて、今1番会いたくない人にぶつかってしまったことに気づく。いや、声を聞く前から気づいていた。彼が身に纏う匂いは俺が昔あげた香水と同じ匂いだったからだ。
「………」
「誰だって聞いてんだよ。ここは一般人立ち入り禁止だ。なのに何故ここにいる」
ガシっと乱暴に掴まれた腕は少し……いや、結構痛い。それに何故彼がここにいるのかが分からなかった。あの遥葉って子に夢中で、仕事なんてろくにしてないはずなのに。
「聞いてるのか」
なんて言えばいいのか分からず、言葉に詰まった俺にイライラしたのかいつまでも下を向いている俺の顔を掴んで強制的に顔を上げさせられた。
「っ!」
なにかに驚いたような顔をしていたがそれも一瞬で、すぐにいつもの不機嫌な表情に戻った。
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