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それは突然だった。 「ヨウ!」 ぐるりと回る視界、けんくんの焦る顔と真っ青な小町ちゃん。段々と傾く体は大理石で出来た食堂の床へとダイブ。ダイブしてから思った。あぁ、やっちゃったなぁって。 「………つとか……だな」 うっすらとだけどはるちゃんの声が聞こえる。何を言っているんだろう。それより何ではるちゃん?………あぁ、 「俺倒れたのか」 「ヨウ?!気がついたの?!」 「羊くん!大丈夫?!」 保健室、か。それも全く使われていない第3保健室。ここで俺が寝ているってことは相当重要な話をしていたか、今からするのか。 「羊。お前働きすぎだ。何日寝ていない」 バインダーを片手に俺を見下ろしてくるはるちゃん。なんだかとってもご立腹なようです。 「たかが5日じゃん!大丈夫だよ」 「大丈夫なわけあるか。お前貧血と過労だ。あと栄養失調」 うげ、そんなに?栄養失調は仕方ないよ?ご飯食べてなかったからね。でもね、はるちゃん。 「貧血はいつものことだし過労は生徒会の仕事じゃなくてモデルの方が今になってきただけ。だから大丈夫ぃ」 「大丈夫ぃ。じゃねーからとりあえず中西にはちゃんと話しとけ。元親衛隊長だろうが」 「………はぁーい」 とうとう本当のこと話すのか。これで態度変えられたらどうしよう。俺、泣くよ? 「あのね、小町ちゃん。俺、小町ちゃんに謝らないといけないことがあるんだ」 なんとなく、会話の流れだとか、元親衛隊長だとかのワードで察していたのか小町ちゃんは涙目になって口元を押さえている。 「うん、ゆっくりで、ゆっくりでいいから、全部聞かせてよ」 ちょっと泣きそうになってる小町ちゃんのそんな顔見るの、2回目だななんて思いながらも俺は今まで何をしていたか話す事にした。

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