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「どういうことか説明、してくれるよね」
あとはガキ同士で話せって言ってはるちゃんが保健室から出ていく。
「騙してたつもりじゃないってことだけは分かっててほしいんだ」
「………うん」
「黙っててごめんね、小町ちゃん。もうなんとなく気づいてると思うけど、俺は中町羊だよ」
ちょっと強ばってた小町ちゃんの顔が緩む。
「なんとなく……そうじゃないかとは思ってた。名字が違ってたし外見も変わってたから人違いだったらどうしようって……」
「うん、ごめん」
「……ますます綺麗になったね。僕がお慕いしていた中町様が帰ってきたなんて、すっごく嬉しいよ。おかえり、羊くん」
「ただいま、小町ちゃん。心配させてごめんね」
「心配、……」
小町ちゃんが急に黙る。どうしたのかとけんくんも小町ちゃんを見た。
「心配、したどころじゃないからな!僕ら親衛隊にも黙って学園からいなくなってどんだけ驚いたと思ってるの?!大体貧血に過労に栄養失調って何?!死にたいわけ?!」
さっきまでのしんみりとした、ちょっと感動的な再会?がいきなりバイオレンスに変わる。
「ちょ、痛い痛い痛い!耳ちぎれる!」
けんくんがポカーンとしてる。まぁ、そりゃそうだよね。俺の元親衛隊隊長が俺に向かって暴言にも近い言葉を吐いているんだから。まぁ、見た目可愛い系だから大人しい子って思われがちな小町ちゃんだけどね、中身は立派な男前お母さんなんだよ。中学生の時何度小町ちゃんに怒られて正座したことか。
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