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ゼロ
「へぇ~、あれが今年の入学生かぁ♪何人残るかなぁ~」
「…興味ないな。」
「“噂”の入学生はどいつだ?」
「見つけ出したらただじゃおかねぇ。あんな入学式なんて前代未聞だったぞ。」
「声を聞けばわかるのですが。昨日声は聞いたので。」
ただのクラス編成試験ごときに、ノスタリジアの生徒会、Sクラスがそろいもそろって見に来ていることにも、入学生たちは皆緊張していた。
目に留まれば、補佐役としてSクラスに入れるかもしれない。
などと考える者もいれば、
恥ずかしい。鼻で笑われるかも。なんて恥ずかしがっている者もいる。
だが、決して先ほどの魔族を見て、逃げる者はいなかった。
「安心しろ。コイツは貴様等の力量をはかるだけであって貴様等に危害は加えないから。」
この三本の触手をもち、一つ目で口からなにやら緑の液体をこぼれさせているのはこの試験のためだけに特化させた魔族であって、攻撃ができないよう力を呪文で制限してあるのだ。
そのことを入学生は運良く、知っていた。
「長い説明などいらない!準備の出来た者から、始めっ!!!!!」
乾いた空に威勢のいい声が一斉に響いた
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