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ゼロ

「げーーっ、いないじゃん、誰も。」 編成試験会場に着いたときにはもぬけの殻状態。 人の気配一つもしやしない。 ……まあ、いいか。 大きな欠伸を一つこぼし、この学園の試験内容がどの程度であったのか確認しにいく。 この世界で一番の魔法の神学校なんだ。きっと編成試験も凄いものなんだろうな。 しかもしかも、その編成試験で、AやSクラスに入れる子なんて、もしかしたら俺を楽しませてくれるかもしれない。 あー……。でもそれはそれで面倒だなぁ。 力を使うのって正直かなり面倒だから、あまり争いたくないな。 うきうきと疲労感を携えながら、一枚だけこの無人の地に残っていた案内用紙を手にとってみる 「………なにこれ」 思わず出た声は震えた。 正直な話、馬鹿馬鹿しくて、さっきの俺の好奇心を返してほしくなる。 ………とても不愉快きわまりないんだけど。この試験内容。 ぐしゃりと握りつぶす。 紙を握つぶした少年の表情は普段の気怠げな顔とは離れたものだった。 漆黒の瞳には珍しく怒りの色もみえる。 「無抵抗な子に大勢で攻撃するのって、ひどいよね。俺は酷いと思うんだけど。」 魔族だって生きている。 道具にしていいわけがない。 何をはき違えているんだろうこの学園は。 さも自分たちが魔族よりも優位な種族であるかのようなこの立ち振る舞い。 ……反吐がでるよ。 俺の手に掛かればこの学園ごと消すことだってできるのに。 なーんて、ね。 そんな面倒なことわざわざしないし、この学園にそこまでの価値なんてないしね。 「よしよし、まずは治療してあげないとね」 例の編成試験用の魔族がどこにいるかも分からないのに、痛めつけられた魔族のことを考える少年。 そして、少し考えたそぶりを見せて、すぐに地面を叩き割った。 叩き割ったのだ。 「みぃーっけ」 無邪気に顔を緩めて笑う少年。 だがその少年の周りの地面は少年を避けて二つに割れていた。

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