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ゼロ

地面を叩き割ると物凄い突風が巻き起こり、砂埃に少年は目を瞑る 『ウゴボオオォオ─』 甲高い雄叫びをあげて、地面から出てきたのは編成試験用の三本の触手を持つ化け物 無理矢理寝床を邪魔されて(地面が割れて)かなり機嫌が悪いようだ 少年を視界に入れたとたんに うねうねと動く触手がナイフのように鋭利なものとなりすごい勢いで少年を攻撃してきた が、 「甘えたさんだな。こんなに人懐っこい魔族は珍しいね」 少年は、無邪気にははっと軽く笑い声をあげて、全く相手にもしない。 化け物が殺意全開で鋭利な触手を押しつけても、それをいとも簡単に避ける。 少年は、それが化け物なりの愛情表現だということを確信していた。 甚だしい勘違いなのだが。 「…あ、キミここ。」   突き刺さるような次々の鋭利な触手を軽くよけていたが少しだけ動きの鈍い触手を見つけわしづかむ少年。 ただの善意で動きを止めたのに、何を勘違いしたか、さらに動きが激しくなる魔族。 (少し、大人しくしてよ。) と口に出すのは面倒くさいからジロリと見つめるとじゃれるのを止めてくれた ん、いいこいいこ。 物わかりのいい魔族を見て、一つ笑みをこぼす。そして、少年はソッと傷口に手をやった 「うわ……。」 触手を一本握ると、炎属性の攻撃だろうか。皮膚がただれていて、緑色の液体がひたひたと地面にしたたり落ちている。 ………こんなんで、力をはかるなんて、とんだ学園だね。 「…お前はMってやつ?」 こんなにいたぶられるために、この地面に大人しく住んでいるなんて正気がしれない。 魔族はもともとそんな性分じゃないはずだ。ましてや、こんな所にいるなんて。 まあ、知りたくもないけど。 そう笑って、触手を握る手に力をこめると、みるみるうちに傷が消えていく 別に、力なんていらないけど こういうとき、俺が俺でよかったと思える

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