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お昼休み、食堂で買った素うどんをすする。
たく、なんだったんだ…?と心は森君のせいで不満だらけだ。
あれから、隣の席の森君は1時間目だけ受けて仕事に行くと早退をした。
てか、知らなかった俺も悪いけど、なんでそんな有名なアイドルがうちみたいなムサ苦しい男子校なんかに転入してくるんだよ。
芸能人とかって、芸能人が通う学校的なのがあるんじゃねぇの?
と朝恥を書いたこともあり不満たらたらだ。
「そう言えば、玲達のクラスに転入生が入ってきたんだろ?」
前の席に座っていた、バスケ部キャプテン3年の如月翔太 が煮卵にチャーシュー、大量のもやしを乗っけたラーメンを啜りながら尋ねてきた。
うちのバスケ部は、試合前は必ず昼飯を一緒に食べるようにと言われている。というのも、より一層練習がきつくなる試合前に昼飯を抜いて体調を崩す…なんてことの無いようにというコーチらの計らいだ。
「いや、それがッスね、あのPRISMのメンバーの森春翔でそりゃもう驚きましたよ。」
俺の代わりに隣の席の悠貴が答える。
「へぇ、そんな奴がなんでこんな男子校なんかに…?」
「さぁ?よく分かんないっす。転入初日の今日も仕事とかでとっくに早退したし。」
「ふぅん。で、なんで玲はなんでむくれてんの?」
「別にむくれてないっすよ。」
顔には出てないつもりだったが、どうやら見透かされてしまっているようだ。
「こいつ、担任に森春翔のお目付け役を頼まれたんスけど、森春翔のこと知らなくて超馴れ馴れしく挨拶とかしちゃって…」
そこまで言うと悠貴が思い出したようにまた笑い出す。
「そんなことがあったんだ?」
正面から、頬杖を着いた手に顎をのせ小首を傾げて顔を伺われる。
何だか小馬鹿にされているようでいい気はしない。
「いいだろ、クラスメイト何だから…」
「でも、あれは怒ってたろ。絶対。挨拶しても無視されてたじゃん。」
「ば、それは!」
と言い訳を繰り出そうにもその先が出てこないので大人しく引っ込んでまた素うどんを啜る。
「まぁまぁ、玲らしいっちゃ玲らしいけどね」
と如月さんも笑いつつ、宥めるように長い手を俺の頭の上に乗っけてワシワシと撫でる。
何だか子供扱いされてるようでムカつくが、一応先輩なので「やめてくださいよ…」とやんやり拒否る。
その後、無心で残りの素うどんを啜り汁まで飲み干した後に、そう言えば…と思い出してお椀を置く。
「如月さん、今日俺部活行けそうにないっす。」
「あぁ、別にいいけどなんか用事?バイト?」
「いや、なんか来月から同部屋に入ってくる予定だったやつが急遽今日から入ってくることになったらしくて、寮監に部屋の片付けしろって言われてるんで。」
というのも、うちの学校は別に全寮制ではないが家が遠い奴や部活に入ってる奴の大半が学校に付属している寮で暮らしいている。
俺も付属寮で生活をしている。
部屋は、全部屋2LKで2人用に作られていて、同じ学年の同じ部活の人通しで相部屋になることが多い。
しかしうちの学年のバスケ部は7人で誰かが1人部屋にならなければならない為、俺が1人で部屋を使っていたのだ。
「分かった。俺からコーチと監督には言っとく。」
「すみません、明日の朝練には来れるんで。」
そこまで言い終わると、如月さんが腕時計をチラッと見てお盆を持って席を立った。
「そろそろ予鈴なるぞ。」
如月さんがそう言って、残りの部員達も各々片付けをして食堂を後にした。
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