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引っ張られるままに、男に付いていくと2階の端にある使われてない空き教室に辿り着いた。 周りにも何も無い、ポツンとした教室は放課後ということもあり周りもシンと静まり返っていた。 男がその教室を開けようとした時、すごく嫌な予感が走った。 俺の今までの経験が、そこは危険だとサイレンを鳴らす。 必死に教室に入るのを抵抗するが、怪力の男の前では抵抗虚しく引きづられる形で教室に押し込まれ丁寧に内鍵をかける。 俺は、斜めがけのエナメルバッグの紐をぎゅっと握った。 部屋の中は、埃っぽくて少し息苦しい。 早くこの教室を出たい気持ちでいっぱいだった。 「あの、なんか俺に用ですか?」 「あぁ。玲くん。俺の事、覚えてるかな?」 「…?なんのことですか?」 俺がそう返事をすると、目の前に立っていた男が急に奇行に走った。 俺の両肩を掴み思いっきり後ろに押し倒す。 急な出来事に受け身が取れず俺は、床のフローリングで思いっきり頭をぶつけた。 グワンと一瞬脳が揺れて思考が停止した後、掴まれた肩の痛みで我に返る。 「いってぇよ!何すっ…んぐっ…」 俺が言い終わる前に馬乗りになった男から掌で口と鼻を塞がれる。 「玲くん。君から僕に話しかけできたんじゃないか。」 何の話だよ…っと言い換えそうにも口が塞がってて声は出せない。いい加減行きも苦しくなってくる。 「去年の春、君の入学式で体育館が分からないと言って君は、僕に聞いてきた。覚えてないのかい?」 知るかよ、知らねぇよ。 そんな事いちいち覚えてねぇっつうの。 辛うじて、思考は少しばかり回るが酸素不足で頭がふわふわする。 「んっ、んーっ、んん」 「俺は、その時一目見て君の事が好きになったんだ。こんな男子校で女神にあった気分だった。なのに君は覚えないって言うのか?」 「ん…」 もう、思考が回らなかった。 男の言葉が頭をすり抜けて内容が入ってこない。 「あ、あぁごめん。苦しいよね?ごめんね?」 男はまるで塞いでいた事に気づかなかったとでも言うように、慌てて手をどける。 「ひゅっ…ゲホッゲホッ…ハッ…ゲホッ…」 ようやく解放され、言い返そうと口を開いてもむせるばかりで言葉にならない。 「大丈夫?嫌いにならないでね?ごめんね?」 男が申し訳なさそうに顔を歪める。 俺は今更ながらやばいやつに捕まったことを思い知る。 「ハァ…ハァ…も、どけよ…そこ…」 力なく訴える。 「そういう強気な所も好きだなぁ。」 しかし、男はまるで聞く耳を持たず俺の両頬に手を添えてグイッと顔をちかづける。 俺は、ふいっと顔を逸らすだけで精一杯だ。 体は、馬乗りになられているせいで身動きが取れない。 今度は、ネクタイを解き始める。 「何すんだよっ!」 せめて声だけは虚勢を貼ろうと、大きめの声で叫ぶ。 しかし、男はお構い無して解いたネクタイで俺の両腕を縛り上げた。 その間、必死に抵抗するものの男の前では歯が立たない。 「そう、緊張しないでよ。すぐ終わるからね?」 そう言って今度は、ゴソゴソとし自分のベルトを解く。 俺は、自分でも顔の血の気が引くのがわかった。 男は、おもむろに自分のをパンツから取り出す。 「んだよ!何するんだよ!どけよ!やめろって!」 俺は一生懸命抵抗を繰り返す。 過去のトラウマが恐怖心をいっそう煽る。 「あばれないで?」 そう言って今度は、俺のベルトを解き出す。 流石にこの先は、何が起こるか容易に想像がつく。ましてや、相手は俺を好きだという物好きだ。 「嫌だ。やめろよ。やめろって…ほんと、シャレになんねぇから…どけっ」 ボコッと鈍い音がたった。 それはほかの誰でもなく、俺が殴られた音だった。 一瞬理解が追いつかない。 「そんなに言わないでよ。俺先輩だよ?強気の君も可愛いけど流石に傷つくから。」 そう言われて、男の目を見ると既に光を失った目がニッコリと細められていた。 ようやく遅れて、左頬が痛みを帯びる。 それと同時に口の中に血の味が広がった。

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