8 / 13
8
「…ぃやだ」
発した声は、自分の声とは思えないほど力なかった。
「恐怖に怯える顔も可愛いねぇ?」
狂ってる。
男はまさにその状態だった。
脳がようやく事態を認識し、体が恐怖で小刻みに震えだした。
喉が、キュッと閉まって息が苦しくなる。
「ひっ…やだ…ぃやだ…やめて…」
男は動きを止める様子はない。
俺のズボンとパンツを一気に足首まで下ろす。
そして、呆気なく固く閉じた俺の足をガバッと開いた。
「…はぁっはぁっ、もういいよね?今までずっと我慢してたんだから…」
そう言って、俺の足と足の間に男は体をはさむ。
尻に当たる感覚がした。
「ムリ…だから…ほんと、ムリ…嫌だ…やめて…やめて…くださぃ…」
もう男は、俺の声なんて聞こえていないようだった。
そのまま俺の尻に自分のの先を押し付けるとそのまま力任せにねじ込んだ。
「あぁっあ!ひっ…ムリ…ぃっ…いた…ぃ…」
「あぁ、ちょっと血が出ちゃったね。ごめんごめん。」
男はそれだけ言って、腰をガツガツと振る。
感じるのは、内蔵を押しつぶすような圧迫感と、嫌悪感だけで、俺は痛い痛いと叫ぶことしか出来ない。
「痛い、ぃやだ…ムリ…抜いて…やめて…ごめんなさい…」
俺は、必死に叫ぶ。
叫んでないと自暴自棄になってしまいそうで必至に自分を保つ。
「そんな顔もそそるんだけど…」
男がずいっとまた顔をちかづける。
その間も腰の動きは止まらない。
「そんなおっきい声出されると、外の人に聞こえちゃうからね?」
そう言って、更に顔が近づいたと思うと口に気持ち悪い感触が触れた。
「んぐっ…」
それが男の唇だと気づくのにそう時間はいらなかった。
男は、舌を容赦なく俺の口内に進入させくまなくまさぐる。
気持ち悪い…
その思いと、吐き気が込み上げる感覚がした。
「んぐっ…はっん…っ…はっはぁはぁ…ゲホッゲホッ…ひゅぅっ…ひゅぅ…」
ようやく男の唇が離れると、大きくむせ返り喉がヒュウっと音を鳴らす。
上手く息が出来ない。
息をはこうとしても上手くはけない。
「そろそろ出すよ?いいよね?中に出しても?ね?玲くん。」
呼ばれた名前に背筋がゾッとしたが、それ以上にその言葉の意味を理解して悪寒が走った。
「ひっ…嫌だ…やめ…」
弱々しくはいた言葉は男には届かず、ラストスパートと言わんばかりに腰を激しくうちつける。
「いくよ…?」
男は最後にそう言って、俺の中で放出した。
ドロっと気持ち悪いものが中で広がる感覚の中俺の意識は朦朧とし始めた。
「ふぅ。あぁ、もうこんな時間か。」
男は妙にスッキリした顔で時計を見上げた。
立って自分の身だしなみを整える男を見てようやく解放されると、ホッとした。
俺は、脱力感にピクリとも体が動かせなかった。
男はその後、何言か俺に話しかけた後何事もなかったように教室を出ていった。
終わった…
俺の頭は今それだけしかなかった。
ようやく強姦から解放された。
ぼうっとする頭の中、このまま意識を手放してしまおうかと言う考えが過ぎった。
きっといつか、誰かが見つけてくれて男も見つかるだろう。
ともだちにシェアしよう!