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42-5 昼飯時のレクチャー

 遅れて来た鷲尾の現国が終わり。  2限3限4限も平和に終わり、昼休み。  階段の上り下りがつらいのを見越して、ランチは電車乗る前に購入済み。  今日、トイレに行く時くらいしか歩いてないなー俺。 「將梧(そうご)。朝、杉原と下で注目浴びたんだって?」  結都(ゆうと)に尋ねられ、溜息をつきながらも口元がほころんだ。 「まぁ……うん。大っぴらに宣言するつもりじゃなかったんだけど……新庄と岸岡が、涼弥の気に障ること言っちゃって」 「岸岡からガードするのに、ちょうどよかったんじゃない?」 「ん。うちのクラスでも知れ渡ったし、これで気が楽になった」 「セックスもしたんでしょ? どう? 感想は」  臆面もなく問う結都。  エロトークはまだ不慣れ……でも。  今日は聞きたいことがある。幸い、結都と凱と3人でランチタイムだ。 「よかった……すごく。ずっと気持ち……よくて」  顔がほてる! やっぱ恥ずかしいわ! 「へぇ……杉原って、そういうの疎そうに見えて独りよがりじゃないんだね。ちゃんと將梧のこと考えてやれるっていうか」  うん。考えてくれてる。俺を気持ちよくさせようと、喜ばせようと……これからもいろいろ……。  うー頭がエロに侵される……! 涼弥の妄想が伝染したか!? 「どした? 將梧。顔ゆるんでる」  購買に行ってた(かい)が戻ってきて腰を下ろす。 「今、昨日の感想聞いてたとこ」 「思い出してたの?」  結都の返事に、からかうように凱が聞く。 「気持ちいーこと」 「ハッキリ言うな。恥ずかしいだろ……俺、今ちょっと頭沸いてるから……」 「いーねー。そんだけよかったんなら、涼弥もやりがいあんじゃん?」 「將梧、いい反応しそうだし」  凱。結都。  もういいや。エロ話……食べ始めたばっかだけど。 「せっかくだから、いろいろ教えて」  やさしげな瞳で俺を見てる二人に、指南を乞おう。ほんのりって思ってたけど……ガッツリいこう。 「何? なんか困ったことあった?」  結都に促され。 「つき合ってる相手と、どのくらいのペースでやるもの?」  まずはコレ。 「週1とか……だいたいの目安がわからない」 「相手っていうか、会う頻度によるかな。週末しか会わない人とは週1だったし、月2、3回しか会えない人とはその時だけ。凱は?」 「俺、つき合うってしたことねぇもん。必要な時とやりたい時にやるぜ」 「じゃあ、毎日会うなら? 結都は、斉木とは……もう?」 「先週ね。金土って連日」  合わなきゃ別れる、みたいに言ってたけど……。  俺の瞳にある問いを読んでか、結都が口角を上げた。 「好みのセックスだったよ。遊んでるだけあって物知りで。なのに、僕の言うこと聞いてくれるから……ハマりそう」 「よかったじゃん。うまくいってんだ」 「まぁね。凱が天文部についてきてくれた時には、こうなるとは想像もしなかったけど」 「あん時やられてたら、つき合ってはねぇな」  そう言う凱も、微笑ましげ。 「当然」  凱と結都が天文部の部室に連れてかれた時から、まだ一ヶ月も経ってないのか……いろいろあり過ぎて、遥か昔に感じる。 「で、斉木さんとは学校で毎日顔合わせるけど、放課後一緒にいるのは週2、3日くらい。だから、週末合わせて3、4日ってとこ」 「えーと……その3、4日って、毎回……やるのか?」  それじゃ多いんじゃって思いつつ。 「これから当分の間は、そうだね。ほら、はじめの頃っていろいろ新鮮でしょ? ほかのことしてても、その気になっちゃうから」 「そう……いうもん?」  それが普通? 俺と涼弥もそうなるのか? 「結都は淫乱なんだろ」 「でも、僕は恋人いない間はほとんどしないよ。遊びでやると面倒でしょ」 「そーね。相手は選ばねぇとな」  凱が俺を見る。 「將梧はさー、涼弥がやりたがったら毎日やんの?」 「いや。無理。週3でも、きっと無理」  毎回あんなのじゃ……バカになる! 頭も。身体も。 「そんな一度に何回もなの? 最初から飛ばしてるね」 「……それは……だって……止められないし……」  結都の言葉に、しどろもどろになる俺。 「なぁ……何回……イッてる? 普通っていうか、お前は?」  ここは恥ずかしさより情報だ。 「向こうがイクまでに2、3回? それが2、3回くらいだけど。將梧が言うと、なんかエロい」  お前もだよ!?  エロ関係に無関心ぽく見えてたもん! 透明っぽいっていうか……。  親しくなった今はもう、そうは見えないけどもさ。 「慣れてないんだ。こういう話するのも……セックス自体も。だから、加減がわからなくて」  結都があたたかい笑みを浮かべる。 「まずは、好きなだけしてみれば? 人によるだろうし」 「う……ん。あ。そうだ。凱」  コレ、知りたいんだった。 「前に、出さねぇなら好きなだけイケるって言ったけどさ。ソレどうやってやるの?」 「んー……出すもんなくなってからか、根元しめとけば出せねぇよ」  え。どっちもなしで、俺とやった時イッてたじゃん!?  口に出来ない疑問が顔に出たのか。  凱が俺をニヤリと見る。 「それ繰り返してドライ覚えると、出さねぇでイケるよーになんの」 「へー……なるほど……」 「出せなくしてイクのって、好きじゃない」 「よくないのか?」  結都が首を横に振る。 「イク前はつらいけど、すごくいいよ。だから嫌。理性飛ぶから」  へー……って。普通にイッてても理性飛ぶ感じだったのに……。 「でも、一度に何回かイクと、勝手にドライでイッちゃうことあって……そうなるともう、お手上げって感じ」 「お前がそーなるとこ、見てみたい」 「斉木さんと別れたら、その時ね」 「期待出来なそー」 「僕も、凱が乱れるとこ見たいよ」 「んじゃ、斉木貸して」 「どうしようかな」  軽口をたたき合う二人に。 「あといっこだけ」  たぶん、腰の痛みが引いてるだろう明日に備えて。  受けの大先輩たちに、教わっておこう。 「上に乗ってやる時の……相手気持ちよくするやり方、教えて」  凱と結都のレクチャーを受け、エロトークに終始した昼休みが過ぎた。

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