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第6話 シングルベッド
……
ちょっ……
ちょっとまて。
おいおい……
楽しくゲームしてるのはいいけど、そんなにくっついて来んなって。
シングルベッドの上で、隣同士うつ伏せになりながらプレイするのはいいんだけど、薫がぴったり身体をくっつけてくるから肩が腰が当たる。
ついでに俺のゲーム機の画面を覗き込んでくるから顔も近い。
「あ、今何のアイテムゲットした?」
ンなこと言いながら……
ハイチュウのグリーンアップル食いながら、その匂いを漂わせた赤い唇。
今キスしたらアップル味確定だ。
あぁ〜舌も甘いだろうから絡めたら舐めあったら絶対美味いし、色んな意味で堪能できるだろう。
初キッスはグリーンアップル味だったな……なんて言いながらニヤニヤしてみたいぜ。
「薫、寄りすぎだって。狭いからズレろ」
「はいはーい」
ゴロンと身体を回転させて仰向けになったと思ったら、今度は両足を持ち上げ俺の腰に乗せてくる。
お前っ!
お前のそういうところがまた可愛いーーし!
ってあーーーーーー!!
キュンキュンしてんなーー俺!!
俺の尻をかかとでこねこねと押したり、スリスリしたりするから俺のヤバい意識が完全に目覚めてしまった。
クッションだ……俺の尻は今クッション代わりに使われてんだ落ち着け。
耐えながらもチラリと薫を見れば、仰向けになった横顔の顎から鎖骨までのラインがやたらエロく見えマジ末期。
ゴクリ……
「……か、薫!お前好きな奴とかいねーの?」
「え、なんで」
「んー遊ぶ奴とかいねーのかなって。あー俺以外な」
「ンー……いない」
「もっと、色んな奴と遊べよ。可愛い女の子とかさ〜!」
……って女子よりお前の方が可愛いけどな!!
そう思いながら思ってる事と違うことを言って自分の乱れた気持ちを誤魔化した。
「えー女子うるさいし、目が怖いから苦手。てっちゃんみたいに話せないし」
「もっと積極的にならねーと駄目なんだよ。俺が教えてやろうか?」
「……ンー大丈夫……」
薫の返事は素っ気なく、感情がこもっていない。
まぁ、そんな社交性が薫にあったら全然違う野郎になっていたんだろうけど。
薫はあくまでマイペースだし、独りでも平気なタイプだ。
もう少し人付き合い出来たらと思ったりするけど、薫には俺がいればいいんだと思ったりする。
ままぁ、万が一?彼女ができたら余裕で応援してやればいいんだ。
……余裕だそんなの……余裕……
薫は男同士の恋愛は嫌なはずだ。
まさか隣にいる俺が好意を寄せているなんて夢にも思ってないはず。
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