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第7話 きっかけは
薫が男同士の恋愛が無理だとわかったのは中学一年の時。
きっかけはクラスの女子が持っていた文庫本だ。
まぁどんな本かはご想像通りなんだけど、可愛い腐女子ちゃんにその本を見せられたわけさ。
……うお?なんだこれ。
男と男が抱き合ってる挿絵に驚いた。
イケメン先輩とどじな後輩が恋に落ちるキュンキュンBL小説だと教えてもらった。
へーとかはーとか言いながらページを捲り、挿絵だけざっと眺める。
既にこの頃には薫への気持ちに気づいていたから、こんな風に両思いになったらいいなぁ〜とかほんわかと思ってみたり。
そして丁度いいところに薫が通りかかったので、とっ捕まえてこの本を見せてみた。
これを見た時の薫の反応が見たい。
ただ単純にそう思ったんだ。挿絵は勿論裸で抱き合っているシーンもあってさすがに鈍い薫でもわかるはず。
無表情男がペラペラとページを捲っている途中で一言。
「気持ち……わるい」
……
その言葉が想像以上に俺の胸に心臓に突き刺さった。マジでグサッときた。
間接的にフラれた気分だ。
しかも薫は顔を真っ青にしてそのままトイレに駆け込み嘔吐。
具合が悪くなり早退してしまった。
うあぁ……これは生理的に無理ってやつか?告るまでもなく俺は失恋し、この恋を諦めなければならなかった。
叶わない恋だ、薫とは良い友達でいようと努力した。
気になる子には自分からアプローチして付き合ったし、それで心の隙間を埋めることができたのだ。
……可愛い子は周りに沢山いるし。
幸い顔がいいからかモテるし退屈はしない。
だけど付き合う子は皆女子ばかりで、男子には全然興味が無いのが不思議だ。
薫のことがあるからてっきり自分は同性愛者なんだと思ったのに、薫以外の男子には関心がないし勃たない。
……幼なじみだから勃つんかな……?とかわけのわからないこと考えてみたり。
くっそ……で、結局薫のことを諦めるとか言っておきながらそんな度胸はなく、高校も同じにして仲良し幼なじみを満喫しているのだった。
避けたくても避けられない。
俺の心は完全に鷲掴みされていた。
このマイペース無表情男に。
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