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第8話 約束したじゃん。
「てっちゃん?」
「ぬうわ!な、なんだ!」
「なんだって……ご飯だって〜」
「え」
ゲームをしているうちに、いつの間にか寝てしまったのか薫に揺すられて起こされた。
目の前に薫のどアップがあって驚き超ビックリだ!
ったく可愛いったらないわこのアホ!
そのクールなパッチリ黒目と赤い唇がヤバいって。
あーどうしてこんなにこいつのことが好きなのかわからない。
……ムクリとベッドから起き上がって立ち上がりながら薫をチラ見した。
わからないけど、可愛いくて……欲しい……
そう思いながらぺろりと自分の唇を舐めてしまう。
喜怒哀楽をあまり出さない奴だけど、全く無いわけじゃない。
嬉しいときには少し口角が上がるし、嫌な時は若干眉間にシワが寄るし上手くは言えないけどそういう表情をするんだ。
「今夜は唐揚げだって〜」
「うおー最高」
「最高だな」
むんぎゅと後ろから抱きついてくるのはいつもの行動だから驚かないけど、抱きしめたくなる衝動にかられてしまう。
抱きしめてキスをしながら優しくベッドに押し倒してそのまま……
……はぁ、マジでどうにかしないと変な事してしまいそう。
そうしたら確実に薫に嫌われる。
『てっちゃんキモ!最低っ!!』
だー!!そんな事言われてこの関係が終わってしまうなんてそんなのは嫌だ!どうしたらいいんだ!
とりあえずは……
「……薫……今日は飯食ったら家帰れよ」
「え、嫌だ」
「嫌だじゃねー。俺今夜は予定あるから」
「……予定……」
「そ、好きな子に告るの今夜!だからお前邪魔だから帰れよ」
「は?…………約束したじゃん。連絡するだけだろ?直ぐ済むじゃん」
う……それはそうだ。
「ンなことないし、夜通しその子とラブラブ話すんだよ。俺は忙しいんだって!薫もさぁ、もっと色々遊べって」
「じゃ、お風呂一緒に」
「ふ、風呂も自分ちで入れっ!!それと!明日から迎えに来るなよ!デートするんだから!!」
「…………えー何それつまんない」
バカ!お前と風呂なんか一緒に入ったら、俺のアレがマッハであれになるだろ!!
「最近てっちゃん俺に冷たいよね……何か……嫌な感じ」
じぃっと見つめる暗黒な視線が痛い。
薫からしたらどうして俺が冷たい態度をとるのか理解できないに違いない。
その後、賑やかに酒を飲む親たちをよそにもそもそ無言で夕飯を食べた薫は、早々にうちを後にした。
唐揚げしか食ってなかったな、あいつ……
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