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第9話 避けるように……
次の日。
そんなやり取りがあったりして、薫とは気まずくなってしまった。
薫も俺のことを避けるように……
「てっちゃーん」
「……」
「てっちゃん、帰ろう~」
って全然避けねぇ……
気まづさ感じてねぇ……
はい!今放課後ですよー!
昨日俺言ったよな!?告るって言ったよな!?
さすがに分かるよな!?
「間宮呼んでるよ。いつものあの子」
「……わかってる」
ちょっとは空気読んで、俺との距離感考えてくれるかと思いきや、全くそんなことはなかった。
何も変わらず、何事もなかったかのような感じで俺のクラスにあいつは迎えにくる。
あのとき今日はデートだって言ったのに、放課後は俺と彼女で過ごすんだろうな俺は遠慮しようとか考えないのかあいつは!
「あの子って、哲嗣くんの友達なんだよね?」
「あーそうだよ」
「迎え来てくれてるし一緒に帰ったら?」
そう言ってくれてるのは、同じクラスの多野元真耶 。ショートカットが良く似合う美人系女子。
まやちゃんは出来立てほやほやの俺の彼女だ。
「は?これからまやちゃんと初デートなんだから、ありえないだろ」
「えーありがと」
にこっと微笑む笑顔が当然!といったような自信ある笑顔だった。
彼女はそんな笑顔が良く似合う自信家タイプなんだよね~。
ひょこっと教室を覗いてる薫は今日も相変わらず可愛かったけれど、ここはぐっと我慢だ。
「薫、迎えにくるなって言っただろ。一緒に帰れねーし。これからデートだから!じゃぁな!」
「えー!なんだよそれ」
「じゃぁな!ちゃんと家帰れよ!」
無表情だけど、むっとしている薫を置いて俺は新しい彼女の肩を抱きながらその場を後にした。
……心が……心が痛い……
マジ薫ごめん!
そんなに彼女を睨むなって。
「ちょっと変わった子だよね。いつも哲嗣くん迎えに来てるし」
「まぁ少し変わってるかな。俺がいないと一人で帰れないみたいでさぁ」
「えーなにそれ!子供?」
変わった子ってなんだよテメー!文句か?薫への文句か!?
そう心の中で叫びながらも、笑顔絶やさずまやちゃんの髪を撫でてみる。
その髪は予想以上に柔らかい髪で少し残念だった。
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