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第10話 パタリと……
新しい彼女ができた後も、薫は俺を迎えにクラスへやって来ていた。
しかしそれがパタリとなくなったのだ。
お?
おぉ……すげぇ。
あいつ学習できんじゃん!
そもそも俺と薫のクラスは校舎が別で、迎えに来ること自体遠回りで効率が悪い。
薫にとっても寄らない方が楽なのだ。
……今日も来てない……か。
よしよし!
ホッとしつつも少し物足りなさを感じてしまうのは、あいつが今までストーカみたいだったからだ。
「哲嗣くーん!おまたせ、帰ろうか?」
「え、おう!まやちゃん帰ろう」
薫のことは気にしないで、俺は俺の青春を楽しめばいい。
目の前の彼女に夢中になればいいんだ。
あいつはあいつ、俺は俺。
幼なじみだからと言って赤の他人なんだから気にすることはない。
寧ろこうなることを俺は望んでいたんだからな!
「今回のテスト範囲広すぎて嫌になっちゃう」
「んなこと言って〜まやちゃんいつもいい点採ってるじゃん」
「ある程度採らないと親がうるさいから。イヤになるよ~」
「へー頑張り屋さんだな。よしよし」
柔らかい髪を撫でてやると、照れちゃう感じがやっぱり女の子って可愛いなぁって思う。
反応が素直でよろしい!
今日は駅近にあるまやちゃんのお家でお勉強会だ。
勉強会と言っても、二人だけなんだけど。
つき合い始めて間もないのにお家にお呼ばれってドキドキしちゃうよね。
俺って結構女の子の行動パターンなんとなくわかっちゃうんだけどさ。
これは期待してるんだろうなぁって。
うーん、どうしようかなぁ。
誘いに乗るべきか、硬派タイプを演じるべきか。
俺からぐいぐい行き過ぎても、ただのヤリたいだけのヤリちん男になっちゃうから、はじめはぎゅーくらいで控えめにするんだよね。
と、思っていたんだけど……
「哲嗣くんのことね!前から凄く好きだったぁ~!」
「……っ!」
どす!ってタックル並みの勢いで抱き着かれて一瞬息が止まった。
彼女の家に着くなり、玄関で思い切り抱き着かれてしまいマジか!って思った。
当然お家は静か〜で、俺ら以外は誰もいらっしゃらないようで……
あーーもうそんなに胸押し付けちゃって嘘~!計画的だった?
そんなに俺のこと好きなんだ……可愛いな。
……有難う……嬉しいよ。
彼女の細い身体をそっと抱きしめ、優しく唇を重ねた。
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