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第14話 猛ダッシュ

彼女の家を後にし、夕方の駅前を歩きながら自宅へと向かう。 初夏のこの時間帯はまだ明るく蒸し暑い。 …… あー結局イチャイチャしちゃったなぁ。 エッチまではないけど、おっぱい揉んじゃった〜。 あったかくて柔らかくて女の子ってやっぱり可愛いって思ったわ。 …… だけどなぁー。 してる途中から何故か急に虚しくなってきてしまい、盛り上がらなかった。 あー彼女は盛り上がってたけどね。 …… 「あ〜……最近調子悪い」 溜め息をつきながら信号待ちをしていた時だ。 あれ、薫? 目の前のファーストフード店の二階に薫の姿があってドキッとした。 こんな人混みの中でも薫を見つけられる自分がスゲーって思ったし、やっぱり赤い糸で繋がってるのかも?ってなる! カウンター席に座り、誰か野郎と一緒らしい。 女子……じゃないみたいだな…… まぁ薫と女子が一緒にファーストフード店ってありえないもんな。 薫の姿を眺めながら信号を渡っていると、薫の隣にいる奴とバッチリ目があった。 ……えーと、あいつ…… 次の瞬間そいつはフッと笑い、隣の薫を引き寄せ、頭にキスをしたではないか。 ……は? は? はぁーーーーーーーーー!!!!!?? それからは俺は猛ダッシュで店の二階へ行き、カウンター席に座っている薫の元へ。 「おい!何やってんだよ!!」 「……?あ、てっちゃん」 「こんにちは〜」 薫の隣に座っている奴は、涼しげに笑みを浮かべ、俺を見上げていて面白くない。 なんだこいつ…… 「間宮くん久しぶり。俺一年の時同じクラスだった吉岡。覚えてるかな?」 「あ?あぁ、覚えてるけど!って薫に何してんだよ!」 「え?何ってなに?なんだろ?」 「……」 こいつ……とぼけてやがる。 俺を確認してからワザと薫にキスしたように見えたのに。 ……で、頭にキスされたことに全く気づいてない鈍感バカは、簡単な問題が解けずにノートをガン見してずっと首を傾げている。 もしかしてテスト勉強があるから今日は迎えに来なかったのか?

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