「お前、薫と同じクラスなのか？」 「ん？あーそうだよ。今日一緒に居残りしててさ、そのままここで二人勉強会してたわけ。間宮はデートだったんだろ？」 「そうだけど」 「いいよなぁ。モテる奴は。羨ましいったらないわ」 「……」 「薫、まだかかるか？帰ろうぜ」 「……ンーここ終わったら」 吉岡のことは無視し、薫の右隣に置いてある鞄をどかしてその席に腰掛けた。 「あ、塩崎。これはさっき教えたのと同じやり方だよ」 「え、マジ」 「……」 「うん、焦らないでゆっくり考えていいから」 「ンー」 「……」 「あ、ここ気をつけてね。そうそう」 「…………」 「……」 「いいよいいよ。大丈夫ちゃんと解けてるよ」 …… あーーーーーーーー！イライラする！！ 心なしか薫とアイツの距離も近いような気がするんだけど！気のせいでしょうか！？ そんなに接近しなくてもいいだろオイ！ 脚を組み腕を組んで隣に全神経を集中させた。吉岡って奴、なんだか気に入らない。 まるで…… まるで薫に気があるみたいだ…… 「ねぇ塩崎。俺とさぁ、つき合わない？」 「っ！！？」 「……」 「俺、男でホモだけど前から塩崎のことタイプで見てたんだ。気がついてなかった？塩崎って可愛いなって……俺大事にするよ」 はぁーーーーーーー！？ マジきたーー！！マジできた！隣に俺がいますけど！？ 「おおお前っ！？薫に何言ってんだよっ！」 「何って告白だよ。丁度間宮くんもいるし。幼なじみ公認で塩崎とつき合えたらいいなぁって思ってさ！どうかな？」 「……嫌だ」 「あはは、はやっ！やっぱりダメかぁ〜クソ」 「やっぱり……？」 「じゃぁさ、友達ならいいだろ？俺ってそこそこ頭いいから勉強教えてあげられるよ？どう」 「……友達……ならいいけど」 「……！？？」 「マジで？やったー！メッセージ交換しようぜ〜」 は？薫がこいつと友達？なんで？ ちょっと待てっ！ ぎゅう ……？ 気がついたら薫の右手が俺のシャツの端を握りしめていて、そっちに気がいってしまい抗議の声が出せなかった。 「てっちゃん。終わったから、帰ろう」 「お、おう」 「あー！そういうのいいなぁ～！やっぱり仲いいよなぁお前ら。羨ましいなぁーそういう二人の距離感！幼なじみ！俺も混ざりたーい！塩崎～友達の俺は一緒に帰っちゃ駄目なのかー？」 「駄目」 その後もブツブツ言っている吉岡を置いて俺たちは店を後にした。 薫が俺のシャツをずっと握りしめていて歩きづらいのにそれに対してのイライラはなく、寧ろ嬉しくてニヤけてしまう自分がいた。