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第16話 ホモ……嫌いなんじゃ
マンションまでの薄暗い帰り道、二人無言でとぼとぼ歩く。
この数時間で起こった出来事により混乱した脳内を整理するのに時間がかかっていた。
驚いたのは薫が告られたこと。
し か も !男にだ。
マジかよ。
それに特に動揺せずに断る薫にも驚いたし。
そしてじわじわと込み上げてくる最大の疑問を確認せずにはいられなかった。
「薫、お前さぁ……」
「……ん?」
「ホモ……嫌いなんじゃねーの?」
「……」
「……」
「……ン?」
「吉岡に告られて、その……野郎に告られて気持ち悪いとか思わねぇの?」
そう薫はホモが嫌な筈だ……それならもっと動揺したり嫌がったりしてもいいのに。ましてや友達になるとか……
「?驚いたけど、別に……そこまでは」
「…………え、ホモ嫌いなんじゃ……」
「??なんで?」
「えーと、だって中学の時見せたBL本気持ち悪いって言ってたじゃん。しかもその後顔青くして吐いてたし」
「?そんなこと、あったっけ」
「あった!中一の時だぞ!気持ち悪いって吐いて早退した時あっただろ!あの時だよ!」
そう言いながらキョトンとしている薫が可愛くて、つい薫の頭をわしゃわしゃと撫でる。
硬めのツンとした髪の毛の感触が気持ちイイ。
「……もしかして、ウイルス性の胃腸炎になったときあったけどその時かな……てっちゃんに何か見せられたような気がするけど、その時はもう気分悪くて吐く寸前で覚えてないよ」
「……は?」
「同性愛とか良く分からないけど、吉岡とか無理だし」
「だけど友達なら……頑張れるかもって……てっちゃんがさ、友達作れっていうから、今回からそう言うことにした」
……
「ちょっと待て……今回から……とは?」
「……」
「……」
「……前も吉岡みたいに言ってくる奴がいるんだ」
「……へ」
「つき合ってって。あ、でもそいつも男だったけど」
!!!
な、ななんだってーーー!!
「ど、どういうことだそれっ!薫!?俺全然知らねーぞ!」
「どういうことって……たまにだよ。すぐ断るし……てっちゃんには言ってないし」
「なんで俺にすぐ言わねーんだよ!そんな大事なこと!」
「……大事なこと?だって俺全然興味ないし、相手よく知らないし……」
「興味ないって……はぁ~~お前なぁ一大事だろ……しかも男にって。あーちょっと薫?お前それ関係で俺に言ってないことあったら全部言え」
色んなことが立て続けに起こっているけれど、重大な事実を誤解していたことがわかり、身体が震えてしまった。
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