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第17話 意識し過ぎて

「最初は中三の時に言われた。ちょっと好きなんだぁ……って」 ちゅ、中三かよ…… 「……その時、お前はなんて返事したんだ」 「……ふーん……って」 「そ、そうか」 「その時はそれで終わったんだけど、高校入ったらまた違う奴に言われて……」 「言われてって、それはいつ頃だよ」 「一年の時。嫌だって言った」 「お、おう」 薫はさも興味がないように淡々と話すけど、俺からしたら一大事だった。 しかも相手は男だぞ男! そいつらが一体薫をどういう目で見ていたのか、考えただけでそいつをぶん殴りたくなってしまう。 薫が着替えている時に隣でムラムラしていたかもしれないし、体育の時にどさくさに紛れて身体を触って興奮していたかもしれないんだ。 女子よりタチ悪い…… 何よりそれらを今まで把握していなかった自分にイライラした。 薫を意識し過ぎて避けているうちに、薫に起きていた事件に気が付かず見逃していたなんて馬鹿で情けない。 「告ってきた奴ら、直ぐ諦めてくれたのか?」 「うん。俺にはてっちゃんがいるからって言ったら、やっぱりそうだよなぁって」 「……は?」 「ほら、俺てっちゃんのこと好きだし。てっちゃんと俺いつも一緒だから直ぐに諦めてくれたよ」 マンションのエントランスを通り、エレベーターのボタンを押す。 つまり、俺が薫と仲がいいのは誰が見ても明らかでしかも幼なじみ。やたら距離が近いしベタベタしているから、そっち系の奴が見たら俺たちはつき合っていると思われているのか? ……まぁ、確かになぁ。近いもんなぁ。 薫と俺の間は隙間がほとんどない。 肩とか肘とか常に触れているし、今も隣にいる薫は俺を柱替わりにして、寄りかかった状態でエレベーターが来るのを待っていた。 ドキン ドキン ぶ、ぶっちゃけ中一のあの出来事が勘違いだとわかって嬉しくて仕方がない。 大暴れしたい!!踊りたーーい!! 薫が俺のことを好きだと言ってくれて泣きたいくらいだし、もちろんどういう意味の好きがは分からないけど、俺にも希望の光が射し込んだ気がした。 チン 到着したエレベーターに二人で乗り込む。

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