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第18話 彼女よりも
「まぁ、俺たち仲いいもんな」
「うん」
「薫は、俺のこと好きだもんな」
「うん」
「俺、彼女のこと好きなんだ」
「……うん」
「……」
「……」
「……だ け ど、彼女よりもずっと大事に思ってるんだぜ?薫のこと」
そう言いながら、薫の頭をポンポンと軽く叩き、そっと頭にキスをした。
キスをしたところで6階への扉が開いたので、薫の背中をトンと押してやる。
「じゃぁな、勉強頑張れよ。あぁわからない所あったら、アイツ!吉岡に聞くんじゃなくて、俺に聞けよ。わかったか?」
「う、うん」
パチクリ瞬きしている薫に手を振り、エレベーターを閉じて上の階へと向かう。
……
……うあー!緊張した!
ヤバい、ちょっとカッコつけたかも。
恥ずかしくて顔から湯気がでて眼鏡が曇る。
好きな奴が相手だと、こんなにドキドキするものなのか。
論外から可能性有に変わったかせいで、薫を避ける理由がなくなったんだ。
これからは遠慮なく攻めさせてもらう。
それに薫が男からモテるということがわかった以上は、薫を誰にも渡したくないという嫉妬心でいっぱいだった。
勿論女にもだけど、薫は誰にも渡したくない!
知らなかったわ。
……お、俺って結構嫉妬深い……んだな。
友達とか彼女作れ~!とか散々言っておきながら、いざ薫が告られたら面白くなくてイライラしてしまった。
吉岡?友達でも無理だろ!そう文句を言ってる俺って本当ちっさい男だ。
いや~まやちゃんの存在が吹っ飛んじゃったなぁ~。
ごめんね、まやちゃん!
まやちゃんは頭が良くて美人で可愛いけど、薫のあの半端ない可愛さには敵わない。
なんていうのか、薫の半端ない可愛さは別格で、同じ「可愛い」表現でもレベルが違うんだ。
薫は、超可愛い……
「女子のみんな……大好きだ。だけどごめんな。俺の心はずっと前から薫だけのモノなんだ。お前らにはやれない!」
……
な~んて?
そんなアホな独り言を呟きながら、自宅へと戻った。
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