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第21話 濡れてんだろ。

薫はうちで、俺と一緒に風呂に入りたかったらしく、そのつもりで来たのにとブーブー言いながら、ただ今風呂に入っております。 ……なんなんだあいつは? ったく、緊張感の欠けらも無いわ。 こっちはいつもよりドキドキしてるっていうのに、一緒に風呂なんか入ったら完全に薫を美味し〜くいただく自信がある! 「てっちゃーん!出たよー!」 「はいはい。出たって母さんに言ってこい」 「うん!」 風呂から上がった薫がバスタオル片手に頬を赤くして部屋に入って来た。 湯上りタマゴ肌…… 見慣れたTシャツに半パン姿だけど、薫からはふんわりと風呂上がりのいい匂いがしてきて、ドキドキする。 あー超可愛い……同じものを使っているはずなのに、どうしてこんなに香りが違うんだろう。 「ほら、濡れてんだろ。ここ来い」 「ン」 薫の少し硬めの髪先から水滴が垂れていて、バスタオルでゴシゴシと拭いてやる。 「相変わらず硬い髪してんな」 「……てっちゃんに拭いてもらうの久しぶり」 「ん?あぁ……そうかな」 「そうだよ。ここ最近こんなことしてくれなかったし。あ、今日お泊まりするからな!」 「……はいはい、わかってるよ。ちゃんと勉強するんだぞ」 「わかってるよ」 突っ立って向かい合いながら薫の髪を拭いていると、薫がどんどん距離を詰めてきて、拭きづらいったらない。 最終的に両手で俺の身体を抱きしめる形となり、おいおいって状態に。 「……おい薫。くっつきすぎだって」 「ンーだって気持ちイイもん。てっちゃんぎゅぅするの久しぶりで、はぁ〜マジ癒される」 「……あのなぁ」 ……俺のTシャツに顔を押し付けて深呼吸してる幼なじみは可愛過ぎで、はっきり言ってぶっ倒れそうなくらい嬉しいです!! 胸きゅんだっ! 落ち着け!落ち着くんだ哲嗣! こいつにはこれが普通なんだから冷静に! 「薫なぁ。お前さぁこういうこと普通しないんだぞ。わかってるのか?」 「……普通はしないかもだけど、俺とてっちゃんはしてもいいじゃん」 「幼なじみだから?全国の幼なじみ達はしないと思うぞ」 「……そうなの?」 「そうなの!少なくとも俺はこういうことは特別な人としたいんだけど」

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