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第37話 バカ!!!
「バカ!!!あんたたち最低っっ!!」
……そう大声で言い放ち、まやちゃんはパタパタと立ち去っていった。
踊り場を降りれば、野次馬が集まってワイワイしている。
別れ話だとか修羅場だとか、好き勝手に話しているけど、幸い俺たちのキスは外野には見られてはいないようなのでホッとした。
「はーーーーーーー」
脱力してその場にしゃがみ込み深いため息をついた。
教室に戻りたくないわー。
自分がしたこととはいえ、超気まずい。
まぁクラスの女子全員から確実に嫌われるだろうなぁ。
野郎たちからの絡みも考えただけで面倒くさい。
「おー派手にやらかしたな」
「哲嗣~!お前別れんの早すぎだろ~!」
「ひゃー!それ、超痛そう~~!」
「……はは」
同級生が冷やかしながら通り過ぎていくのを、なんとか笑いながら見送った。
俺が女をとっかえひっかえしていたのは周囲も知っているし、またかよみたいな反応がほどんどだ。
ま、今回はちょっと派手だったけど……
「てっちゃん、それ痛そう」
「ん、まぁ仕方ないだろ」
俺の頬は左頬はビンタされた衝撃で真っ赤に腫れていて、ジンジンと痛い。
結構思い切りでしたね。
まぁ、それくらい頭にきたってことですよね。
……一緒にしゃがみ込んでいる薫は心配そうに見守っている。
「……薫」
「ん?」
「帰り、終わったら迎えに行くから、教室にいろよ?」
「う、うん!」
「ひとりで帰るんじゃねーぞ」
「うん!わかった」
本当はこのまま薫と次の時間サボってしまいたいところだけど、まるで逃げるみたいだからやめた。
教室に戻って痛い視線を浴びよう。胃がキリキリしそうだけど、それは仕方がないことだし、それを受け止められるという根拠のない自信と謎の好奇心がそうさせていた。
俺ってドMなのかしら~。
あっはは~。
「てっちゃん、帰ったらいっぱい介抱してあげるから」
「お、おう……」
ぎゅっと俺の手を握りしめて薫は自身の教室へと戻って行った。
頬は安定にジンジンと熱っぽい痛みを発しているし、胃はキリリと重たい。
……
なのにどうして、
俺はこんなにもニヤついてるんだろう。
やべぇ、色んな意味でやべぇ……!
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