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第38話 俺んち来る?

「痛くない?」 「ん、割と平気になってきた」 あれから約束通り、放課後に薫の教室まで迎えに行って、二人で下校中だ。 引っ叩かれた頬は少し痛むけど、帰る頃には大分マシになってきていた。 ……クラスメイト(特に女子)からの痛い気まずい視線に耐えながら、授業を受けた俺は我ながらよく頑張ったと思う。 数日間、こんな雰囲気になるかもしれないけど、それは仕方のないこと。 悪いのは俺だし……けど、誰も薫の事を話題にしていなかったし、男同士でキスをしたこととかは聞かれることもなかったのが意外だった。 どうやらそこは、まやちゃんが伏せてくれたみたいだ。てっきり言いふらかすと思ったんだけど…… ……そういう優しいところがイイんだよなぁ~。と、少しキュンとしてしまった。 女の子はそれぞれに可愛いところがある。 第一印象とイメージと違う部分を発見すると、時めいてしまうのだ。 もっとこの子の違う顔をみたいなぁとか思っている頃に向こうは俺に惚れていて、お互いにそんなムードになっていたりする。 我ながら弱いなぁとか思ったりする。けど、所詮はその程度で満足して、関係は終わってしまうのだ。 だって、別格がいるし。 女の子は気軽に摘まめるけど、隣を歩いているこいつに同じことができるかと問われたらできないだろう。 ゆる~く腕組んでるのが違和感ないくらい自然だ。 腕に添えられている薫の手は温かくぬくもりが伝わってくる。 いつものことなのに意識してしまって、ドキドキしている自分がいた。 んあ〜すっげー幸せ…… 「ね、てっちゃん」 「ん?」 「帰ったら、俺んち来る?」 「え」 「最近、ずっとうち来てないだろ?……来てもいいよ」 「えと、行く!行くに決まってんじゃん!」 「よし、決まり!待ってるから」 か、薫からお誘いだ!! 今までは誘われても、断り続けていたから薫の家なんてかなりご無沙汰だ。こうなった今、もう断る理由なんてない! ……結構期待していいんだよな?さっきいっぱい介抱してくれるとか言ってたし…… 介抱介抱〜! 「あーやっぱりほっぺた、まだ痛むなぁ……」 とか頬を擦りながら言ってみたりすっる〜! はぁ〜!ワクワクする!!

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