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第45話 幻聴か?

こ、このナース服を薫が着たら、こんな金髪女子なんかよりも可愛いに決まってる! それにミニだ!ミニスカだ! 短いスカートから、薫の細い太ももが見えてそれはそれはエロいだろう! 「お前、なんで俺がこういうの好きだって……」 「……は?俺を何だと思ってるの?てっちゃんのことを一番知ってるの俺だよ?歴代の彼女にてっちゃんが色々着せてたの知ってるし……っていうか聞かされてたし」 「……あぁ……そう言えばそうだったような」 ……そ、そうだー!そうだったっ! 薫への想いを断ち切るために、女の子に夢中になろうとしていたあの日あの時、イベントがあるたびに彼女にサンタとか魔女とかのコスを着せて楽しんでいたのだった。 楽しかったし可愛かったけど、そのつど思うのは薫の事だし、薫が着たら……という無駄な妄想をしていたのは確かだった。 「てっちゃんのことだから絶対好きだと思って、思い切って頼んだんだけど、何かこれなくても全然大丈夫そうだよね」 「え!」 そう言いながらごそごそと箱をクローゼットにしまおうとする薫を慌てて引き留めた。 ちょーーっとまったーーーー!!!! 「あほか!いるだろ!絶対いるだろ!」 「え、そうなの?」 「これを着た薫見たいに決まってるだろ!んで!脱がせるっ!」 「ひゃー!てっちゃん変態~」 「知ってんだろっ!!」 「あはは!知ってる~」 「わ た し も、知ってるわよ~」 「……」 「……あ」 「……」 一瞬何?幻聴か?そう思った。 思いながら恐る恐るドアの方を振り返ると、ほんの少し開いたドアの隙間……隙間から聞き覚えのある声が聞こえた。 え、 ま、まさか?あれ仕事に行ってるんじゃ…… 「てっしくーーーーーーん。そ れ の 軍資金は私が出してあげたのよ~有難く思いなさい」 「ひぃっッ!!!!か、薫の母ちゃん!!」 悪夢かと思った。 ゆっくりと開いた扉のそこには薫の母、塩崎久美子が腕くみしながら無表情で立っていたのだ。 「いい趣味してるわねぇ。あんなに泣いていた可愛いてっちゃんが、今じゃこんなにエロな高校生に。まさかうちの息子に手を出すなんてっ!超びっくりなんですけど!!」 「あ……ぁ……あのっ!」 「……」 「うちの薫がこれ着たら確かに似合うかもしれないわ……ねぇそう思わない?哲嗣くん」 「……」 「聞いてるのっ!!!?」 「は、ふぁぁあいっ!!!!」

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