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第46話 魂が口から
ぜ、絶望的だ。
いつから?いつからそこに?
もしかして、ヤッてる最中からいたのか?
俺と薫の関係をおばさんに知られてしまった。
……
俺の人生、これで終わった。
完全にアウトだ。
俺の魂が口からするりと抜け出し、じゃぁなと手を振りながら、ふよふよと召されていくこの感覚……
「……ああぁ……」
「ん?こら、哲嗣?てっちゃーん?おばさんの声聞こえてる?おーい!」
「てっちゃん半目。てっちゃん!」
「……す、すみません……ごめんなさい……」
「……」
「……」
「薫の事を……同性のこいつを好きになってすみません……でも中途半端な気持ちじゃないんで……本当、おばさん……ごめんなさい」
「……」
「……すみません……」
謝って済むことではないかもしれない。
おばさんからしたら、もう俺は薫を汚したヤバい変態野郎でしかない。
どこからそこにいたのかは知らないけれど、ここで二人何をしていかは、わかるはずだ。
乱れた衣服をぼさぼさの髪。性的な湿った匂いが立ち込めている部屋。そして使ってないけどナース服。
おばさんはドアの前で仁王立ちしたまま、床で正座している俺を凝視している。
薫に似て何を考えているか一見わからないおばさんだけど、怖くて俺はその顔を見ることができず、自分の膝をじっと見つめていた。
「ふぅ……えーと……てっちゃんね。中途半端な気持ちじゃないって言ってるけど、それ……本当なの?あなたの今までのだらしない武勇伝、わたし結〜構〜知ってるんだけど」
「……」
「そんじょそこらの女の子とうちの子を一緒にされちゃ困るんだけど」
「わ、わかってます……!そんなのわかってます!俺、今まで薫しか好きになったことないです!!」
「?……そうなの?あんなに沢山の子とつき合っておいて?」
「……か、薫は同性からの好意は嫌だと思ってたから……その……無理だって思って。俺、他の男には惹かれないからゲイじゃないんだと思うんだけど、でも、薫のこと諦めないとって……でもそうじゃないって最近わかったから……その……諦めきれなくて……」
ヤベ、何言ってんだろう俺。
頭が混乱していて、整理して話すことができない。
うまく言葉が出て来ないし、視界がぼやけてくる。
「てっちゃん」
正座する俺の後ろから、薫がぎゅっと抱きしめてくれた。
抱きしめられ伝わる薫の体温が優しく感じられて、涙が込み上げてきてしまった。
「あ~、こらこらてっちゃん泣かないの!あのさ、勘違いしないでよ〜!お ば さ ん は 、反対しているわけじゃないからね」
「……」
……
……
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「え」
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