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第47話 ドン引き
「反対している訳じゃないんだけど……くれてやるけど!本当に本当に……ほんとーに!うちの薫でいいのかって言う!そっち!」
「え」
意味が分からなくて、咄嗟におばさんの顔を見上げてしまった。
そんな俺の顔は、泣きそうで情けない顔をしているに違いない。
おばさんは何とも言えない表情を浮かべてから、深いため息をついた。
「薫はこの通りてっちゃん一筋、親が引くほど小さい頃からてっちゃんしか見えてないのよ。毎日毎日てっちゃんてっちゃん。迷惑かけるからと、距離を置こうと思っても無駄だったわ。注意しても聞く子じゃないし、怒ると私に似てタチ悪いのよ、この子。わかる?」
「……は、はぁ……」
「そんな薫とつき合うことになったら、本当マジ……超大変なのあなたよ?まず浮気なんてできないわよ?小さい頃からてっちゃんしか見てない、てっちゃんがいればいい、用事もないのに間宮家に行ったり、高校も一緒、避けられても気にしない、そしててっちゃんの為にあなた好みのコスプレ衣装を用意しちゃうような子よ?てっちゃんマニア、ハッキリ言ってストーカー……」
「……母さん、言い過ぎ~」
「本当の事でしょ!これっ!ベタベタしない!」
俺のことを抱きしめている薫は、俺の肩に顎をのせてスリスリしながら離れようとしない。
「てっちゃんが俺のこと、恋人として好きだって言ってくれたんだからそれでOKだよね。親が何言っても無駄でしょ。俺だっててっちゃんのこと大好きで、両想いなんだから仕方ないじゃん。これまでは我慢してたけど、もうしないから。てっちゃんは、俺だけのモノなの~!」
「……っく……このガキ……てっちゃん!今ならまだ間に合うぞっ!こんなヤバい息子からは一刻も早く手を引いた方が身のためだ!マジでマジでっ!」
ヤバい息子って、あなたの子供では?
「えっと……あーっと……そう言われても、俺……ずっと薫のこと好きだったし。正直今幸せで……それにこれ用意してたって知って、結構嬉しかったりする自分がいるんで……アハハ」
そう言いながら、ナース服が入った箱をおばさんに掲げてみせたら、ひぃ……ってドン引きされた。
「うわーい!買ってよかったー!」
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