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第49話 それ着てくれる?
てことは、俺たちはずっと前から両思いだったわけだ。
俺の女癖の悪さは、薫を諦めようとする一心から始まった行動なわけで、まさかそれが逆効果を与えていたなんて知らなかった。
「てっちゃんは女の子と一緒になるのが幸せなんだって思ってたから我慢してたよ……たけど、それでも一緒にいたかったから……」
ポソりとそんなことを呟かれたら、愛おしくてたまらない。
何コイツ!健気すぎっ!
俺の膝枕で寝転がる薫の頬を優しく撫でた。モチモチとした頬っぺたが気持ちいい。
「俺がマジで女子に夢中になって、その子と結婚とかしたらお前どうしたよ……」
「てっちゃんがそれでいいならいいかなぁって……でも俺はそれでもてっちゃんにくっついてると思うけど」
「馬鹿か、お前は」
「あはは。だよね」
仰向けになり、笑う薫が両手を広げたので、そのままギュッと抱きしめた。
……気持ちいいハグ。
胸に熱いものが込み上げてきて薫の体温や息遣いがやらたと伝わってくる。
「俺はてっちゃんとピッタリずっとくっついてたい……」
「……」
「気持ち……いい……」
「ン……」
こんなに胸がいっぱいになるものなのか。
薫とこうやって抱き締めあっているだけで、溶けてしまいそうに幸せを感じる。
「薫、好きだ」
「俺も……てっちゃんが大好き……」
最高、超最高……
薫の匂いがたまらなく、いい香りで離れたくなくなってしまう。
今しがた行った、初めての二人の行為はまだ全然足りなくて深部が疼く。
もっともっとヤリてぇ……突っ込んでぐっちゃぐちゃにしたい!薫のエロ顔見たいし、エッチな声も聞きたいし!細い身体触ってハアハアしてぇ!
ムラムラ欲情する気持ちをなんとか抑え、名残惜しく身体を離した。
……
「薫、今日は帰るわ。このまま一緒にいたらヤリた過ぎておかしくなりそう」
「……」
明らかにしょんぼりする薫の顔があって、鼻で笑ってしまった。
そんな可愛いしょんぼり顔の額にキスをする。
「今度は、それ着てくれる?」
「!う、うんっ!!」
「はは、ヤリィ」
チュっと唇に軽いキスをしてから薫と別れ、キッチンにいる薫のおばさんに挨拶をしてから塩崎家を後にした。
はーーおばさんに挨拶はドキドキするな〜。
笑って「またね〜!」と言ってくれたのが有難くてホッとした。俺は緊張から無意識に拳を作っていたらしく、手のひらは汗でぐっしょりと濡れていた。
……だけど、気持ちはふわふわ高揚していて、悪い気分ではない。
おばさんに薫との関係がバレことは事件だったけど、それはそれ。
単純な俺はドキドキワクワクしてるし、きっと顔がニヤけてる。
いや〜俺って単純だな〜。
何が単純かって?
そりゃ簡単!
薫のナース姿が楽しみで!頭いっぱいなとこだよ!
次がマジ楽しみで仕方ないっ!
鼻歌歌い、スキップしながらルンルンで自宅へ帰る俺は、薫とのイチャイチャ妄想で幸せいっぱいだった。
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