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第10話「我慢出来ない」

「おはようございます……」 「おう、清。おはよ。……朝っぱらから疲れた声だな」 仕事場のロッカーに入った途端、先輩からそう言われた。 先輩は俺に仕事を教えてくれた人で、配送地域も近いから俺がトラブった時も一番に来て手伝ってくれた。かなりお世話になっている人でもある。 「そりゃ、ここ連日。忙しかったから……」 俺は情けない声でそう訴える。今はお中元の全盛期、通常の配達に加えてその荷物が追加されるので量が尋常じゃないのだ。 やっと仕事に慣れてきたところだったのに、完全にキャパオーバーになった。 毎日残業でヘトヘトになるまで配達して、部屋に帰っても寝るだけ。次の日すぐに仕事に向かい、食事も運転席で適当に済ませる日々。 おかげで康臣とも最近会えてない。 思い出して、思わずため息が出た。 康臣とは飲んだ流れでセックスしてしまってから、なんだかんだその関係が続いている。 自分でもこんなにハマるなんて想像してなかった。そして会うたびに、また会いたいって気持ちが大きくなって、時間があれば飲みに誘ってしまう。 しかし、最近は仕事に忙殺されて仕事中に会うことすらできないのだ、会えても話す時間もない。 会えないことで欲求不満がたまってさらに疲れる。悪循環だ。 「でも、今日ぐらいから一段落しそうだ。今日の配達分見てきたら、いい感じに落ち着いてた。だからがんばれ」 「マジッすか」 先輩が励ますようにそう言った。 それを聞いて嬉しくなる。これなら近く康臣と飲みに行けるようになるかもしれない。 今日は、運良く康臣に会えたら絶対誘おうと心に決める。そう思うとやる気が出てきた。 急に元気になった俺を見て、先輩は「やっぱり、元気じゃん」と呆れ顔だ。 俺はそれに構わず早速ユニホームに着替えてトラックに乗り込む。 できるだけ早く終わらせてしまおうと張り切る。 今日も朝から太陽が照っている、もうすでに暑くて汗がにじむ。 いつもならうんざりしているが、目的があると気持ちも違う気がする。 康臣の事を思い出すと自然ににやけてきた。 康臣の体はとてもエロい、ゴツゴツしてるし適度に筋肉がついていて、どう見ても男なのに不思議だ。 だけど白くて滑らかな肌や腰にあるほくろ、柔らかい首筋はやけに艶めかしくて目の前にあると、つい手が伸びてしまう。 そして、一度手を出すとそれだけでは我慢できなくなる。 それに一度やってみたかったAVでしか見ないようなことも、してみたいというと大抵させてくれるのだ。 同じ男だからというのもあって軽い気持ちで冗談めかして言ってみると、康臣はしょうがないなと呆れながらも付き合ってくれる。 フェラとかきつい体位も男だからと結構遠慮せずできてしまう。 俺はスポーツをしてきたから体力があり、そっちの方も回数が多くなりがちだ。実は、それが原因ではないが、それがきっかけで喧嘩になって女の子とは別れてしまったこともあった。大抵の女の子は体力がなくてついて来れないし。しんどいとか疲れたと言われて怒られることも多い。 でも康臣はクタクタになるまでセックスしても、次の朝にはけろっとしてるし、それについて文句を言われたことがない。 なにより、何度も回数を重ねるごとに、康臣の体はどんどん中が柔らかくなってトロトロになって俺のものにぴったり吸い付くようになっていく気すらする。 バックから突き上げた時、弓なりにしならせてもっとしてくれと言わんばかりに腰を押し付けてきて嬌声をあげる姿は、何時間でも見ていたいと思う。 本当に不思議だ、知り合った当初は康臣のことを見ても何も感じなかったのに、今は顔を思い出すだけで変な気分になる。 「……やばい」 そんなことを思い出していたら、早速したくなってきた。仕事中だぞと、なんとか自分の体に言い聞かせて鎮める。 季節は康臣と初めて喋った時より本格的な夏になってきた。 流石に暑さにも慣れてきたが、日差しはつよくうんざりしてくる。そんなことを考えながら、仕事を進める。 「お届けものです」 インターホンにむかいそう言うと、しばらくして家人が出てきた。 今回の配達はマンションのエレベーターの無い四階だった。 荷物は水なのだろうかかなり重い。 出てきた家人はお年寄りで、荷物を受け取ると、嬉しそうにお礼を言って労いの言葉も言ってくれた。 家人は重い荷物は買いに行くのが大変そうだと思えるくらいの細い腕をした老人だった。だから通販を使ったのだろう。 こう言う時は、疲れていても喜んでもらえてこちらも嬉しい。 この仕事をしていてやりがいを感じる瞬間でもある。 サインを貰い、マンションを出た。汗を拭きつつ、昼も近くなったからそろそろ食事を取ろうかと考える。 幸いなことに先輩が言った通り、今日は配送に余裕があった。 昼食はゆっくり取れそうだ。 「あ……」 そう思った時、遠くに康臣の姿を見つけた。 俺は急いで車を降り、駆け寄って「康臣!」と声をかける。 「ん?……あ……清、久しぶりだな」 声をかけると、康臣も手を上げ、そう答えた。 「久しぶり。今日、時間に余裕があってさ、一緒に飯食わねえ?」 俺がそう言うと、康臣は綻ぶように嬉しそうに笑った。 「……っ」 久しぶりの康臣の笑顔に心臓が跳ねた。 「どうかした?」 一瞬黙ってしまうと、康臣が不思議そうな顔をしてそう聞いた。 「い、いや何でもない。また、いつもの公園でいいかな?」 「うん」 そう言って誤魔化す。 その後俺たちは仕事に切りをつけ。各々、昼食を買うと公園のベンチで久しぶりに一緒に食事をした。 「ほんと久しぶりだな、こっちは忙しくって大変だった、そっちはどうだった?」 「俺も忙しかったよ。でも、あと数日で元に戻るだろ。いつものことだから俺は大丈夫だったけど、そっちは初めてだろ?大丈夫だった?」 康臣はそう言って、俺の顔を心配そうに覗き込む。 「流石にちょっと疲れたけど、伊達に鍛えてたわけじゃないから。なんとかなりそう」 大学で柔道をしていた頃はもっときつかった、それに比べればまだましだ。 それでもスポーツの柔道とじゃ大変さの度合いが違う。 康臣は毎年こんなことをしているのかと思うと、本当に尊敬する。 「ああ、そういえば柔道してたんだっけ?基礎体力があるといいな、俺ももっと鍛えないとな」 康臣は羨ましそうに、そう言った。 そんな風に会話は和やかに進んだ。久しぶりというのもあって、テンションも上がる。 あらかた食事が終わったころ俺は切り出した。 「そっちも、余裕が出たならまた飲みにいかないか?次の休みはいつ?」 さりげなく、そう聞いた。 飲みに誘うのは、暗にしようと誘う合図だ。いつの間にかそんな決まりになっていた。 正直、忙しくて自慰もしてないから溜まっていたし、久し振りに会えて顔を見てたからか、ムラムラしてくる。 康臣は、それを聞いて何故かホッとした顔をした後「ああ、いいよ」と言った。 聞くと運のいいことに、明後日休みが重なっていた。 早速明日、仕事が終わったらいつもの居酒屋で落ち合う約束をする。 楽しみすぎて、思わず顔がニヤけてしまう。 改めて早く仕事を終わらせようと決心した。 「あ、そうだ。アイス買ったんだ。食べる?」 俺はそう言って、コンビニで買っておいたアイスを取り出す。 今日も暑い。アイスのコーナーが目に入りおもわず買ってしまった。 アイスはチューブに入っていて半分に割れるタイプのものだ。これなら二人で食べられると思った。ちなみに味はホワイトサワーだ。半分に分けて康臣に渡す。 「うわ、懐かしい。ぺピコだ、昔よく食べたな」 渡すと康臣は嬉しそうに言って、受け取る。 「ちょっと、溶けちゃったかもしれないけど」 上のキャップをあけると、案の定アイスは少し溶けていてトロトロ溢れてくる。 慌てて口に含む。冷たいアイスが心地いい。 体がやっとホッと一息つけた気がする。 今日はいいことが多い気がする、仕事は一段落しそうだし、康臣にも会えた。 しかもまた飲みに行く約束もできたし……その後の事を考えると、かってに下半身が熱くなってしまう。 ふと隣を見ると、ちょうど康臣もチューブを口に含んでいた。 「ほんとだ、溶けちゃってる……ん、やば垂れてきた……」 康臣はそう言って、アイスを口に含む。アイスが溢れて赤い舌が唇を撫でた、柔らかそうで濡れたそれに釘付けになった。 それでも溶けたアイスは受け止めきれず、口や首筋にも垂れる。 それを見て俺はいろんなものが吹っ飛んでしまう。 「康臣、こっちきて。他も溢れてる、洗った方がいい」 俺はそう言って、康臣の手を取ってトイレに向かう。 「ん?え?ほんと……?うん?……お、おい、どこ行くんだ?」 俺はその言葉を無視して、公園にあるトイレに康臣を連れ込む。 戸惑った康臣を個室に押し込み、ドアを閉めそれと同時に口を塞ぐようにキスをした。康臣は驚いた顔をする。 「っ……んん……き、清……あ……む……ん」 角度を変えて何度も唇を合わせ、こぼれたアイスも舐めとる。 何故かさっき食べたアイスより甘く感じた。 もっと味わいたくて、壁に押し付けるようにして更に深くキスをする。 ぐいっと舌を入れ込みかき回す。 「ここも汚れてる……」 そう言って、首筋にも唇を這わせる。同時に康臣の胸を服の上から探り、指をこねるように動かすとわずかに胸の飾りが立ち上がった。いつも通りのエロい反応に興奮が高まる。 康臣は顔を真っ赤にさせかぶりを振った。 「き、清……だ、ダメだ……こんなとこで……」 「……ちょっとだけ……」 そう言って、そのまま強引に康臣の制服をたくし上げ手を這わせる。少し汗で湿っていて手に吸い付くようだ。 「で、でも……ん」 康臣はでもと言う割に本気で抵抗はしてこない。 それをいいことにもう一度唇を塞ぎ何も言えなくさせると、ズボンのベルトに手をかけた。 ガチャガチャと手早くベルトを外す。そうして硬くなったものを康臣の腰に押し付けた。そこは自己主張するように完全に立ち上がっている。 「ほんとに、ちょっとだから……すぐ、すぐに終わるから……」 「あ……」 戸惑う康臣を尻目に、俺はそのまま身体を探り脱がしていく。 飢えてたのもあるが、久し振りの康臣の肌の感触に止まれない。 相変わらず康臣は顔を赤くさせるだけで、抵抗らしい抵抗がない。 俺はそれをいいことにそのまま、康臣を後ろに向かせ下着ごとズボンを下ろす。 そうして康臣のものを探る。そこはもうすでに固くなっていた。 「康臣の、少し勃ってる……」 「!……っあ……い、言わないで……清……」 少し扱くと康臣のものは完全に勃ち先走りを滴らせ始めた。 康臣の目もとろんとし始めるのを確認する、困った顔をしながらも口から溢れる声は甘さも混じっている。 手早く自分もズボンの前を開き、いきり勃ったものを取り出す。 「ごめん、ほんとにすぐ終わらせるから……」 「で、でも。じゅ、準備とか……」 俺は、以前康臣に言われてから持ち歩くようになったゴムを出す。 「大丈夫、ジェル付きの持ってるから……」 「え?……うそ……」 それを装着して、そのまま俺は康臣の後孔に押し付ける。最初は抵抗感があったが勢いよく押し進めるとズブズブと飲み込んでいく。 「っ……」 「!!ああっ……っん」 中の締め付けに、ゾクゾクと快楽が電気みたいに駆け上がってくる。 すぐにでも動かしたくなるけど、解しもしていないのにいきなり入れたせいか、まだ中は硬い。 ゆっくりと根元まで埋め込むと、康臣の体は震えて少し辛そうだ。 「すげ……気持ち……いい……」 「あ……あん……清……馬鹿……」 首筋に顔を埋め吸い付く、汗をかいているせいかいつもより康臣の匂いが強い。 その匂いだけでも気持ちよくなって自分のものからジワリと何かが溢れたのがわかった。ゆっくりと腰を動かし慣らしてしく。 シャツを胸の上までたくし上げ、手を這わせ胸をいじる。康臣にも気持ち良くなって欲しいと思った。すでに立ち上がっていたそれを親指と人差し指でこねる、康臣の感じるところはもう覚えている。 「っあ……き、清……そこ……い、いじったら……」 康臣は目を潤ませながらこちらを向き、困った顔をしたそう言う。 相変わらず、誘っているようにしか見えない。 「っ……く」 俺は我慢できなくなって、腰を引き思いっきり打ち付けた。

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