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1ー8

助けを呼ぼうと開いた口は、速水の大きな掌に塞がれる。 俺は暴れた。 両手を振り回して暴れた。 いきなり暴れ始めた俺の左頬に焼け付くような痛みが走った。 左頬を叩かれたと気付く前に、右頬にも同じ痛みが走る。 目の前がクラクラする。 頭がガンガンと痛い。 頬がジンジンと痛い。 だが、そんな痛みに構ってられない。 必死の形相で逃げようと用具室の扉を目指す俺の襟を速水が掴み、制服のボタンが弾け飛ぶ。 襟を掴まれ、地面に引き倒される。 仰向けに倒れた俺の身体を跨ぎ、俺の腹に体重をかけて乗ると、右手を振り上げ、振り下ろす。 その行為に躊躇いはなかった。 用具室の中、速水が俺の頬を叩く音が響き渡る。 俺はそれでも逃げようと足掻き続けた。 だが、俺の抵抗も速水からすれば赤子の抵抗ぐらいにしか思われなかったらしい。 俺のズボンに速水の手が伸びてきて、下着と一緒にズボンを脱がそうとしてきた。 俺は両足をバタバタ動かし、それを阻止しようとするが抵抗虚しく、脱がされてしまう。 その時点でも、俺は自分が何をされるのか気付くことはできなかった。 だが。 両足を広げて持ち上げられた時、ようやく自分が何をされるのかに気付くことができた。 「…や…止めろ…」 気付くことができたが、遅かった。 俺の後ろの蕾に堅くて熱いモノが押し当てられる。 「…い…嫌…」 「力を抜いてろ」 そう声が聞こえた途端。 「…うわあぁぁあああぁぁ~~っ!!」 メリッという音と同時に、身体を引き裂く痛みが俺を襲い、気を失った。 ……………………………………………………。 …………………………。 ……………。

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