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「どうして、そんなに俺を構うの?誰かに頼まれた?」
いつの間にか再びオレの前に来ていた青山に声をかけられた。
まさか青山の方から声をかけてくれるとは思わなかったオレは、吃驚して言葉もなかった。
「…聞いてる?」
「…あ、うん。いや、え、と、別に、誰にも、頼まれてない。うん…オレが、興味っていうか…いや、興味ってんじゃないけど…わ、わからなくて…」
「……………」
「……………」
「……………」
「……………ごめん。何、言ってるのか、わかんないよね」
ハハハと乾いた笑いをすれば、青山もクスクス笑い出した。
………笑った。
「…あ、あの、い、一緒に帰らないか?その、寮まで」
青山が笑ったことに気をよくしたオレはその勢いのまま、口を開いた。
…やっぱり不自然か…?っていうか、図々しかったか…?思い切りどもっているし、無理だよな。
少し図々しかったか…と半分、断られることを覚悟していた。
が。
「いいよ」
うん、そうだよな。やっぱり………って、えぇ!?
「…いいの!?一緒に帰って!?本当に!?」
オレの驚きように、青山はまたクスクス笑った。
「いいよ。帰る所は一緒だしね」
よっし!!
オレは小さくガッツポーズを作った。
「何、してんの?」
そんなオレを不思議そうに見ている青山。
「…いや、別に。さ、行こう。今すぐ、帰ろう」
気が変わらない内にとオレは青山の手を取り、図書室を後にした。
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