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2ー10

-彰文も諦めたのか、静かになっている。 ふと、青山を見ると身体が小刻みに震えている。 顔色も悪い。 それで、オレは気付く。 「あ、ごめん。そうだよな。同性に告白されても気持ち悪いだけだよな」 「違う!!」 オレの言葉を青山が大声で遮る。 「違うんだ…気持ち悪いとかじゃない…そうじゃなくて…俺は…駄目だ…」 気持ち悪くない? 後の言葉は、ほとんど聞いていなかった。 「本当に?」 「え?」 「本当に、気持ち悪くない?」 「う、うん」 顔色は相変わらず悪いが、青山ははっきり頷いた。 告白しても、気持ち悪いと思われなかった。 これは俺にしてみたら、奇跡に近い。 嬉しさのあまり、手を青山の方へと伸ばす。 しかし。 「でも、俺は駄目だよ」 その言葉に、青山の方へ伸ばしていた手が止まる。 「俺は、汚いんだ。だから、駄目だよ」 その言葉に、再び手を伸ばし、青山の震えている肩を抱き寄せる。 「駄目じゃない」 「俺は…」 「好きだよ…青山は汚くなんかない」 「俺は汚い。三城は知らないんだ」 「大丈夫。青山は汚くない」 オレは震えている青山の肩を抱き締め、言い聞かせるように耳元で囁く。 人を避けるようにしている青山の態度で、何かあるとは思っていた。 だが、過去に何があったかなんて聞かないし、関係ない。 過ぎた過去はどうでもいい。 オレだって、人の事は言えない。 大事なのは、今、オレが青山を好きだという気持ち。 大事なのは今。 そして、未来だ。 だから。 「明日、休みだし、どこかに行かないか?」

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