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2ー11
「え?」
オレを見上げた青山の瞳が、揺れている。
ひとつ、わかったことがある。
青山の過去に何があったのかは知らないが、人を避けながらも青山は人肌に飢えている。
それと、オレは青山に嫌われているわけではない。
その証拠に、今も青山は迷っている。
だが、弱みにつけ込む気にはなれない。
最初はオレを信用してもらう事から始めないと。
「どこか行きたい所はないか?映画でも、ゲーセンでも、カラオケでも」
「俺、行った事、ない、から」
「え、マジ?映画も!?ゲーセンも!?カラオケも!?」
「え、う、うん」
マジか。
「じゃ、明日はオレ、見たい映画があるから、それ行こう。な?」
強引に約束を取り付ける。
最初は友達からってヤツだな。
時間は沢山あるんだし、焦らずゆっくりいこう。
この時、オレはそう思っていた。
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