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2ー12
「ヤッベー。彰文を巻くのに時間、かかっちまった」
オレは、寮から駅への道を走っていた。
今日のデートが嬉しくて、昨夜はなかなか寝付けなかった。
二人、一緒に寮から出ると彰文が煩いので、一旦、別々に寮を出て駅で待ち合わせようと約束(強引に)していたが、オレが寮を出かける間際になり、彰文がうるさく話しかけてきて寮を出るのが遅くなった。
(青山、待っているだろうな~)
必死で走って、駅が見えてきたところで息を整える為、歩調を緩めた。
その時。
オレの横を黒塗りの車が追い抜いて行った。
その車の後部座席に、見覚えのある人物の横顔を見た。
ような気がした。
まさか…アイツがこんな所に居るわけがない。
だが。
嫌な予感が…胸騒ぎがする。
オレは再び駅に向かい、全力疾走する。
車は駅前で止まる。
まさか。
嘘だ。
「青山!!」
オレの叫びに、車に乗り込もうとしていた青山が振り向いた。
ような気がした。
だが。
青山の姿は車の中に消え、車は走り出す。
「青山!!」
それは、全て一瞬の出来事で。
「青山!!」
オレは叫びながら車を走って追いかけるが、追いつけるはずもなく…。
「青………由貴!!」
車の姿はだんだんと遠くなり、見えなくなってしまった。
「由貴~!!」
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