此花先輩は、野菜ジュースをコクコクとかわいく飲んでいく。 「先輩ってさぁ、そういうの計算？」 「そういうのって？」 「う～ん、自分をかわいく見せる仕草とか？」 先輩はほっぺたをプクっとふくらませた。 見た目だけは、ほんと、かわいいんだけどなぁ。 いかんせん中身が、アレだから。 「うわっ失礼。計算なんかじゃないよぉ。日々の努力のた・ま・も・の」 「……そうですか」 この人、すごいよ。 外見だけで十分にちやほやされるはずなのに、擬態というか偽装することを、努力してしているんだ。 そこまでして、下僕を増やしたいんだ。 「桜井くんのチャラさは天然だけどねっ！」 にっこりと笑顔で断言された。 オレはチャラく見えるそうだ。 なぜかは、わからないけど。 二股とかしないし。 至って真面目におつきあいしてるのになぁ。 誤解をまねく言動とか態度とか、しないんですけどね。 外見だって、地毛が茶色で毛先が癖っ毛なだけで、カラーもパーマもしてないし。 思いあたるふしがないけど、中3の夏ごろからチャラ男のレッテルを貼られている。 しいて言えば、部活を辞めて髪が伸びたのが原因かもしんない。