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第18話 かわいい恋人が出来なくなる
「……いつ、見たんですか」
と、オレ。
答えてくれるかわからないけど、一応、知りたいからたずねてみた。
「教室とかぁ」
とか、ね。
「他には?」
「トイレは特にダメだよ、桜井くん。個室がふさがっていたら、気になるじゃん」
「……なりませんよ」
「ふつうは気になるって」
ふつうから遠い人に言われてもなぁ。
「トイレの個室がふさがっていて、なかなか出て来なかったら、エッチ中だってわかるし。それに、一つしか閉まっていなかったトイレから、二人が出てきたら完璧じゃん」
学園のトイレはプライバシー保護の観点から、個室が多く設置されていて、パウダールームも完備あり規模が大きいのだ。
障害者用トイレが3つあり、個室もゆとりのある作りになっていた。
……ていうことは、ずっとトイレの外で見張ってたわけですね。
この人、やっぱり、恐いよっ!
「大丈夫? 顔色悪いけど」
オレの顔を覗きこんできた。
「桜井くんなんかさぁ、けだるそうな雰囲気で色気だだもれだもん。ヤったってバレバレだってば」
他の人にもオレたちのことが、ばれてるんじゃないのか?
本当に付き合っているんだったら、別に知られてもかまわないけど、オレたちはお付き合いしてないから。
ただのセフレの関係。
どっちが『攻め受け』って、話題になるじゃん!
龍ヶ崎がネコなんて、絶対にありえない。
ていうのが、たぶん、みんなの認識なんだと思うし。
ということは、オレがネコ役だと思われてしまわけで。
オレはタチなんだけど、ね。
仕方なく今の立場にいるわけで。
かわいい恋人募集中は変わんないからっ!
「やだなぁ、しっかりしてよ、桜井くん。さっきからぜんぜんしゃべってないじゃん。僕ひとりでしゃべってて、変な人じゃん」
「でね」
と、先輩はとびきりの笑顔をむけてきた。
天使みたいだけど、中身は悪魔だかんな。
「今度さぁ、三人で遊ぼうよ」
と、先輩。
オレは速攻、手を振って全力で拒否を示した。
ムリムリ。
絶対ムリ。
龍ヶ崎が承諾するわけないし。
これからは絶対外でヤんないからっ!!
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