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第22話 不法侵入の常習犯
食堂から帰ってきて、そのままの格好で自分のベッドにダイブした。
ご飯食べに行っただけなのに、すごく疲れた。
此花先輩といるとすごくしんどい。
無視したいのに、なつかれて、なんか、無下にできない。
だから、甘いと、龍ヶ崎に叱られる要因だ。
3日ぶりの自分の部屋。
落ち着くよ~。
週末は龍ヶ崎の部屋で過ごしたから、今晩は呼び出しはないはずだ。
此花先輩の今後の動向やそれに対する対策を、考えなくちゃならない。
けれど、奇行に走る先輩のことなんか、推測不可能だ。
ふつうに、想像しても、わかんないし。
身体も精神も疲労困憊だ。
オレは枕に顔をうずめて目を閉じた。
ゆり起こされ、オレは目を開けた。
どの部屋でも開けることができるマスターカードキーを手にして、それをヒラヒラさせている龍ヶ崎がいた。
生徒では、生徒会会長と生徒会副会長、風紀委員長と風紀副委員長の4人が『どこでもドア』のように、寮内をフリーに出入りできるカードキーを持つことができるのだ。
そのカードキーを私的に使っての、相変わらずの不法侵入。
「お仕置きだって言ったの、忘れてた?」
と、龍ヶ崎。
「今日はムリ」
と、オレは枕に顔をふせたまま言った。
「十分に休息はとったでしょうが?」
と、龍ヶ崎。
「ムリなものはムリっ」
「あんたがムリじゃないときなんか、ないだろうが?」
確かに。
とうぞようこそいらっしゃい。
なんて、ウェルカムなときなんか、ないけど。
だって、体力も気力も根こそぎ持っていかれるのは、オレのほうなんだから。
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