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第27話 本領発揮できません
すぐ下にある龍ヶ崎のキレイな顔。
20センチ位近づけば、形のよい唇がある。
うっすらと開いた口から舌先か見えた。
さそわれるように、オレは顔を近づけた。
冷たい唇をわずかにかすめ、小バカにしたようにみつめてくる切れ長の目の目尻に口づけた。
ニキビもシミもない頬にキスをしていく。
顎先を舐めたあと、耳朶を食んだ。
龍ヶ崎の目が一瞬だけ細められた。
感じたというよりは、不快感に顔をしかめた感じだった。
耳まで形のよい龍ヶ崎。
耳裏に舌をはわしながら、龍ヶ崎のジーンズの中に手を入れた。
パンツごしにも熱さがつたわってくる。
ホックもジッパーも外していないから窮屈で、手の動きが制限される。
嫌々さわっている感じよりも、怖々 ふれているみたいになってしまった。
さわり慣れてないしぐさみたいだ。
何度もさわったことがあるにも関わらず、まるで初めてのようなぎこちなさになってしまった。
強要されるのと、自主的にするのとは、気分的に雲泥の差があった。
「ヘタ」
と、龍ヶ崎の温度のない声。
たしかに。
されることに慣れすぎで、タチらしいことが出来なくなっていた。
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