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第30話 油しか思いつかん
「ヤりチンのくせに、手際が悪すぎる」
と、龍ヶ崎。
……完全になめられている。
龍ヶ崎のモノから手を離し、体からも離れた。
ベッドから降りようとしたオレに、
「どこいくの?」
と、起きあがった龍ヶ崎に強い口調で言われた。
「ローションないから、替わりのものとってくる」
「ない?」
「この前、おまえがドバドバとオレにぶっかけたから、ないの」
「……それって、ずいぶんと前だよ」
そう言われれば、龍ヶ崎の部屋にいりびたっていたから、ここのところ、ここではヤっていなかった。
「替わりって?」
「ボディソープ」
「無理。もっとちゃんとしたので」
て、龍ヶ崎に言われたけど、
ここには、ワセリンもベビーオイルもない。
「う~ん」
ちゃんとしたものねえ。
オリーブオイルやサラダ油やマーガリンじゃ納得しないだろうなぁ。
ぬるぬる感はんぱないだろうし、油っこいし、匂いもきついし。
直接手でさわるようには作られていないものだ。
料理するのに使うもので、人には使うものじゃない。
あ、そういうの賞味期限切れてるかも。
オレは料理しないから、冷蔵庫に入ってるのは知ってるけど、使ったことがない。
春休み前に別れた恋人の置いていったものだ。
いづれ使うだろうと思って放置さていた食料たち。
食料じゃないな。
食品か。
正確には調味料なのか?
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