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第43話 最大限の譲歩はネコ役

オレは簡単に、ベッドに仰向けに寝転んでしまった。 龍ヶ崎が覆いかぶさってきた。 「ローションなくなっちゃたよ。どうするの?」 と、龍ヶ崎。 「ヤらない、とか?」 「どうしたい?」 問いかけてきたのに、オレの意見はスルーかよ……。 お互いに、1回ずつイってるし。 もはや、エロい雰囲気もない。 あえていうなら、ピリピリとした空気につつまれている感じ? 手をのばして、龍ヶ崎の頭を引きよせた。 近距離には、芸術的な造作の美しくて、少し不機嫌そうな顔。 白濁液まみれの醜いオレの顔とは、雲泥の差だ。 「……今日は何もしないで、抱きあって眠るだけじゃダメ?」 と、オレ。 オレの言い分が通ることは、あまりないけど。 「それが、したいこと?」 と、龍ヶ崎。 「うん」 「いつも、抱きあって寝てるけど」 「え?」 断じて、そんなこと、してない。 龍ヶ崎を凝視してしまった。 「まばたきしないと、目ぇかわくよ? あんたは爆睡してるから。……記憶にないみたいだけど」 このエスパーめ。 オレの心を読むんじゃないよっ。 「じゃあ、僕のしたいことはどうなるのかなぁ?」 「ネコ役?」 龍ヶ崎が目をすがめた。 人相悪くならないのが、よけいにムカつく。 「あんたがマジで嫌がるから最大限譲歩しただけ」 俺様王様気質の龍ヶ崎が、譲歩なんて言葉をしっていることに驚いたよ。 マジマジと見返してしまった。 「……おまえは、なにしたいんだよ?」 「あんたが泣いてすがって、やめてくれと懇願しても、意識がなくなっても、朝まで抱きつぶすこと」 「いつもしてるじゃんっ!」 速攻でつっこんじゃったじゃんかよ……。 「泣いたらやめてあげてるでしょ?」 と、龍ヶ崎。 「はあ? 朝までしてんじゃん」 龍ヶ崎は鼻先がつくまで顔を近づけてきた。 近すぎてピントが合わない。 「正確には夜明けまで。今日はあんたの条件をのんであげてもいいけど。明日は僕の番」 「やだ、絶対ムリ」

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