49 / 69
第49話 もうすぐ終わるのに、ナゼかキャラがふえていく
放課後、俺様(本人が主張したから)風紀委員長の呼び出しに応じて、風紀委員室を訪れた。
ノックしようとしたら、中から、重厚な扉が開けられた。
「えっ、桜井悠人っ!」
「はい?」
部屋から出ようとした人に、大声で叫ばれてしまい、ずんずんと近寄ってきたので、自然と扉が閉まってしまった。
「なんで、ここにいるの? 困りごと?」
がしっと手をとられ、両手で力強くにぎられた。
オレと同じくらいの目線で、ギラギラした目で見つめてきた。
距離が近い。
暑苦しい。
テンション高い。
苦手な人種の部類だ。
「委員長に呼ばれて来たんだけど」
と、オレ。
「桐ノ院さんが直々に?」
暑苦しいくんは、オレの手をにぎったまま、首をかしげた。
「とりあえず、手ぇはなしてくれない?」
と、オレ。
近いんですけど。
初対面の距離じゃないだろう、
ていうほど近いってば。
「すげぇ……マジ、きれぇ」
と、舐めるように見られた。
気持ち悪いっ。
「ちょ、近いってば」
近づいてくる顔を、にぎられていない左手でおしのける。
けど、体ごと迫ってくる。
殴っていい?
風紀委員だと思うけど、殴る。
だって、変態っぽいし。
振り上げた手を、後ろからつかまれ、背中から抱きすくめられた。
「……龍ヶ崎ぃ」
見なくても、誰かわかる自分が心底嫌なんですけど。
オレの手をつかんた手の大きさ。
背中に感じる胸板の感触。
オレの好きな匂い。
ともだちにシェアしよう!