59 / 69

第59話 お茶淹れもオレのお仕事らしい

給湯室で、電気ケトルでお湯が湧く前に、高槻くんに、茶葉やいれかた等の説明を受けた。 オレは、コーヒーカップにインスタントコーヒーの粉をいれて、お湯をそそいだ。 食器棚には、コーヒー豆や紅茶や煎茶などのたくさんのお茶があり、個人持ちのマグカップも置かれていたけど。 そして、各個人の嗜好はいれなくてよいそうだ。 いちいち聞いていたら、きりがないからだって。 高槻くんは、お茶くみでは秘書力発揮しないみたいだ。 冷蔵庫からコーヒー用ミルクを出して、スティックシュガーを一つずつそえて、大きなトレイにのせて完了。 自分の分はブラックだから、付属品はなし。 「いつもブラック?」 と、高槻くん。 「うん」 「指定のある人以外は、それ、しないで下さい。疲れているときとか、体調にあわせて個人で調整しますから」 「あぁ、わかった」 合理的で無駄が嫌いそうな高槻くんだから、手渡したあとに、砂糖とか言われたら、面倒だからそえる。 そう思ってた。 ごめんね、高槻くん。 「お茶うけは?」 と、オレ。 「基本的にありません。お菓子、食べたいんですか?」 「ないなら、いい」  中等部の生徒会では、常時たくさんの生菓子や保存の出来るお菓子があったから。 風紀委員室にもあると思ったけど、ここにはないらしい。 まあ、高等部ではお菓子なんかは必要ないのかもしれない。 オレもコンビニで飲料水は買うが、お菓子とかは買わないし。 オレがお茶だしを始めると、高槻くんはさっきまでいたオレの隣のイスに座った。 委員長のかずくんから、順番にコーヒーを出していく。 「どっちが淹れた?」 と、委員長。 「オレ」 「……飲めるのか?」 と、委員長。 以外と小さい男だな、かずくん。 「失礼な。自分でいれな」 と、オレ。 「インスタントなんで、誰が淹れても同じです」 と、高槻くん。 フォローだと思うけど、それ、なってない気がするよ。

ともだちにシェアしよう!