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第61話 ナンパはしないから

自分の机に着くと、先に座っていた高槻くんにお茶をだして、座った。 「お茶だしに無駄口多くて時間かかりすぎです。……ぬるい」 と、高槻くん。 「ごめん。いれなおしてくる」 高槻くんが、動こうとしたオレの腕をつかんできた。 「これでいいからっ。今度から気をつけて下さい」 高槻くんのあせった感じが、初めてつたわってきた。 「ありがと」 と、オレ。 「ひといきついたら、続きしますから」 前に向き直った高槻くんの耳が赤い。 「かわいいなぁ」 と、オレは思わず笑ってしまった。 高槻くんは、カップを持ったまま見返してきた。 「しっかりしてるけど、やっぱり年下だなぁと思って」 と、オレ。 「はあ?」 と、高槻くんがちょっと怒ったような顔で見てくる。 「あなたにぼくが笑われる要素がどこにあるのか、わかりませんが?」 と、高槻くん。 「ごめん。気にさわること言ったのかな? 頑張ってる高槻くんをかわいいと思っただけなんだけど。言葉足らずで、すみませんでした」 と、頭をさげた。 「べ、別に、かわいくなんかないっ」 「「え、そこ?」」 修ちゃんと永島のセリフがかぶってるよ。 「いや、そういうとこが、かわいいんだけど」 と、オレ。 「桜井ぃ、ここでナンパするのは禁止~」 と、委員長。 「……ナンパされてたんですか」 と、高槻くんは目をすがめた。 そんなことしてないから。 バカ委員長様よ。 高槻くんには、悪いけど、タイプじゃないから。 かわいくて、つくしてくれる子、がいいの。 好き、と甘えてくれれば、なおよし。 料理上手なら完璧オレ好み。 「凛は悠ちゃんのタイプじゃないよ~」 と、修ちゃん 「そんなの知ってますよ」 と、高槻くん。 「はいはい休憩終わり。仕事再開」 と、永島。 「おかわり」 と、龍ヶ崎。 「はい?」 と、オレ。 「悠人、おかわり」 と、指名あり。 ひとくちもコーヒー飲んでないんですけど、オレ。

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