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第64話 記憶になかったけど、高槻くんは生徒会役員で後輩だった

龍ヶ崎と自分のコーヒーをいれて、給湯室を出た。 「どうぞ」 と、龍ヶ崎にお茶を出した。 「次からはこのカップで豆でいれて」 「はいはい」 と、オレ。 自分の席に座って、いれたてのコーヒーを飲んだ。 おいしい。 くは、ない。 だって、濃くて苦い。 目線の先には、インスタントコーヒー。 ひとくちも口にせずに冷めてしまっていた。   「続きをしますか?」 と、高槻くん。 高槻くんの仕事を引き継ぐから、その仕事を教わっていたのだった。 「あぁ。……あのさ、他の委員は?」 机が9台あるのに、委員室には6人。 あと、4人たりない。 「今日はもう来ないと思いますよ」 「え? 毎日来なくてもいいの?」 「……毎日来る気だったんですか?」 と、高槻くんは小さくため息をついた。 「生徒会の時は毎日通ったけど。何か色々とやることあったし」 「生徒会は人員が少ないのに、仕事が多いから」 と、高槻くん。 あれ? 「なんですか?」 と、高槻くん。 「中等部では生徒会にいた?」 「会計でした。2年の時は補佐してましたけど」 うっ……。 一緒に生徒会活動してたんだ。 記憶にないわ。 ごめん。 「書記だったけど、何か雑務ばっかやってた覚えがあるなぁ。高槻くんなら、高等部でも生徒会に誘われたろ?」 「桜井先輩こそ、なぜ生徒会役員じゃないんですか?」 「速攻断った。な~んかめんどうそうだったし」 高槻くんが、物言いたげにじぃ~と見てきた。 「何?」 と、オレ。 「そんな理由で入らなかったんですか?」 「まぁそれもあるけど」 「けど?」 「秘密」 と、オレが笑ったら、 高槻くんが、カバっと自分の口を押さえた。 「高槻くん?」 「……なんでもないです」

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