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第45話

 驚きすぎて上手く立っていられない。膝がガクガクと震え思わず奏にしがみつくと、そっと背中に手が添えられた。目を閉じることすら思いつかなくて、ただただ奏からのキスを受け入れる。  どれくらい経っただろう。ものすごく長い時間だったかもしれないし、あっという間の出来事だったような気もする。名残惜しげに奏の唇は離れていった。 「なんで……キス、したの?」  もしかしてという期待。もしかして、もしかして。奏も同じ気持ちなのだろうか。 「BLならこういう展開になると思って」  由幸はポカンと奏を見上げた。 「え……、BL?」 「はい。俺が攻めなら絶対こうしなきゃいけないと思ったんです」  カッと頭に血が上り、気がついたら奏の頬を平手で打ってしまっていた。パンという乾いた音が部屋に響く。  BLならって何だ!  由幸の気持ちを知ってもまだ、奏はBLごっこを続けようというのか。  由幸は無言で奏を部屋から追い出した。

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