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第2話

「……ん……知矢……?」  典夫が小さく身じろぎをして、切れ長の目がゆっくりと開いていく。 「……おはよ、お兄ちゃん」 「……ん……おはよ、知矢……」  まだ眠そうな兄。こんな無防備な顔を見れるのは自分だけなのだと思うと、知矢はたまらない幸福感を覚える。  そうこうしているうちにすっきりと目が覚めたのか、典夫が知矢の体を強く抱きしめてきた。 「うわ。お兄ちゃん、なに? 苦しいよ」 「だって昨夜は引っ越しで忙しくて、おまえのこと抱けなかったんだもん」 「まだ全然荷物片付いてないよ? お兄ちゃん」  あちらこちらに置かれている段ボール箱を見ながら呟くと、 「ゆっくり片付けて行けばいいよ。それよりせっかくの日曜日なんだし、知矢とイチャイチャしたい」  そう言って典夫は知矢の額や頬、鼻の頭、そして唇にキスの雨を降らしてくる。 「やだ、お兄ちゃん。くすぐったいよ。……っあ……」  不意に知矢の声が跳ね上がる。  典夫がキスを深めながら、知矢の乳首をその細く長い指で摘みあげたからだ。 「ほんとに感じやすいな、おまえの体は……」  キスの合間に囁かれる兄の声は扇情的でたまらなくエロい。 「あっ……や……やっ……」  朝には似つかわしくない激しいキスをされ、乳首をいじくりまわされ、苦しい息遣いのもと知矢が甘い声を漏らすと、典夫の冷たげな美貌が甘くとろける。  唾液を滴らせて、典夫の唇が知矢の唇から離れて行き、そのまま下へと滑っていく。  乳首をじっくりと愛され、華奢な体のラインに沿って典夫の唇はどんどん下へと降りていき、やがて知矢の昂ぶりにたどり着く。 「やだっ……お兄ちゃん……」  もう数えきれないくらいそこを唇で愛されているというのに、知矢はいつまで経ってもその行為をされるのが恥ずかしくてたまらない。 「知矢……かわいいよ……」  知矢の羞恥の気持ちを充分に知っていながら、いや、知っているからこそ典夫は執拗にそしていやらしくソレを唇で愛する。根元から先っぽにかけて舌でねっとりと舐めまわしたり、喉の奥でグッと締め付けるようにしたりして……。  その気持ちよさに知矢の腰はピクピクと跳ねる。 「あっ、ああ……も、出る……出るから……お兄ちゃ……っあ……」  ひときわ高い嬌声を引っ越して来たばかりの部屋へと響かせ、知矢は典夫の口内へ愛液を放った。

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