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恋は突然に。~秋広の場合~

「え!?ど、どうしたの!というかごめんね、きちんと聞いておけばよかったね。今日は無理して言わなくていいから。ほらこれ着て」  その場にしゃがみこんで夏樹くんの顔を覗く。泣いた姿が一瞬愛おしく感じた。  どこか懐かしい感情であった。涙を手で拭うように優しく頬に触れる。 「・・・好きです。おれ、秋広さんのこと好きなんです。さっき伝えようとしたんですけど、勇気出して言おうとしたら拓海くんきてタイミング悪いし、そしたら怖くて緊張して言えなくなって」  泣きながら息を吸う間もないくらい勢いよく喋った。 「・・・夏樹くん、夏樹くん一旦落ち着こうか。」  そして抱きしめていた。無意識に。自分でした行動がいまさら恥ずかしいと感じたのは久しぶりでこの状況を誤魔化そうしたとき細い腕が身体を拘束した。  それは夏樹くんの腕だった。ぎゅっと優しく包み込まれるこの感じ夏樹くんらしくてこの感覚は初めてだった。この子はどれだけ悩んで勇気だして伝えてくれたんだと分かった。ちゃんと考えて向き合わないといけない。 「夏樹くんありがとう。すぐには答えられないけどきちんと考えるね。今日は帰ろうか、送るよ」  夏樹くんは小さく頷いた。  その後泣き止んで他愛もない話をし、家に着いた。 「・・・さっきはすみませんでした。では、おやすみなさい」  咄嗟に手を掴んだ。 「謝ることじゃないよ。またいつものようにお店にきてほしいだ」 「は、はい!あ、あの、手、」 「ああ、ごめんね。そろそろ帰って店やらないと拓海に怒られそうだからもう行くね。クッキー食べてね。おやすみ」 頭を撫でてさよならをして店までの道のりを歩いた。俺の頭の中は夏樹くんのことだけだった。店に着いて既に開店時刻20時を既に過ぎており代わりに拓海がお客の対応をしていた。 「夏樹となんかあった?渡すだけなのに遅いじゃん」 拓海は本当に感が良すぎる。これだけ遅いと勘づくとは思うが店を観てくれたので今度お礼しよう。
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