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恋は突然に。~夏樹の場合~

 ふと目が覚めた時、朝を迎えていた。時刻を確認し5時半過ぎで身体が痛いのを感じた。  あ、そっか昨日、途中で寝てしまったんだ。  あの後、秋広さんをベッドに運んだはいいが自分はその同じベッドに寝ることができずベッド脇で好きな人の顔をみてそのまま眠りについた。  あー!というか、き昨日、秋広さんと気持ちが通じ合ったんだ!今更だけど恥ずかしすぎる!しかもあの状態で寝られたから胸がはち切れそうだった。でも、好きって言ってもらえた。  こちらを向いて寝顔を露わにしてまだ寝ている秋広さんを確認する。端正な顔をしていて歳のわりに渋くてそれがかっこ良くて憧れる。たまに香る煙草のにおいと爽やかなミントの香水が鼻孔をくすぐる。 「秋広さん、大好きです」  グーっと伸びてきたものが頭に置かれ重みが感じた。それは秋広さんの手でぐしゃぐしゃと撫でられ髪が乱れた。 「わあ!えと、おはようございます。起きたんですね!」 「おはよう。なんで君はこうも簡単に俺の心を乱すんだ。それは起きてる時に言うべきだよ、夏樹くん?」 「き、聞いてたんですか!」 「恋人の熱い視線感じたら、そりゃあ、ねえ?」  恋人という言葉に心が躍る。  少し意地悪っぽい笑顔を浮かべてグイっと腕を引っ張られ布団に入る形になった。ふとしたにおいに気づいたがいつも使っている布団が一瞬にして秋広さんの香りが染みついていて胸が高鳴る。包まれるようにそして密着する。 「まだ早いしもう少しゆっくりしようか」  この人がみんなに好かれるのはこういうことをサラッとやってしまうからなんだと思う。前に昼間に出ていた秋広さんが女性客に言い寄られていたり年配の方、老若男女問わず好かれていた。そして素敵な家族がいて羨ましいとさえ感じる。 「夏樹くん?どうしたの?」  考え事していたため秋広さんの声でハッとした。 「あ、いえ何でもないです。そういえば、髪」 「ああ。拓海にモデル頼まれてやってもらったんだ。でも寝起きだからぼさぼさだ」  寝起きでさえも元々整っているからいつでもかっこいい。素敵だというとまた頭を撫でられた。多分、この人の照れ隠しなんだと思う。 「そいえばあのまま帰っていないからみんな心配してませんかね?」 「あ~・・・そうだね。1人除いて陸人は心配してるかもね。あとは、あいつに任せるよ」  あいつ?と疑問に思っていたらぎゅっと力が加わった。 「ねえ、さっきのもう一回言って」    

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